出張のときに「新幹線代」の領収書を発行し忘れた…これって自腹で負担するしかないのでしょうか?
出張にかかった交通費を請求するために、領収書の提示が求められることがあります。しかし忙しいあまりに、あるいはうっかりして、領収書を発行し忘れてしまうことがあるかもしれません。 今回の事例がまさにそのようなケースですが、こうなると会社への請求が正しくできず、自腹での交通費支払いを覚悟するしかないのでしょうか。 本記事では、適格請求書(インボイス)として領収書の発行を失念した場合、清算がどうなるか、また領収書の再発行をどのように行うかについて解説します。 ▼新幹線で1人で「2席分」の購入はNGなの? 規則を確認
公共交通機関の領収書は金額によって必要性が異なる
新幹線のきっぷ代など公共交通機関での支払いを会社に計上する際、基本的には領収書を発行して、後日会社に渡すことが多いでしょう。しかし、今回のケースのように領収書の発行を忘れてしまう場合も考えられます。 税法上、領収書が必要になるかどうかは金額によって異なります。 ■3万円以上だと領収書が必要 公共交通機関での領収書は、金額が3万円以上だと必要になります。 2023年10月から始まったインボイス制度では、領収書や納品書など「適格請求書(インボイス)」の発行が重要です。適格請求書があることで、会社は「仕入税額控除」を適用してもらえます。 仕入税額控除とは、事業者が売上時に受け取った消費税を納付するときに、そこから「仕入れや経費にかかった消費税額」を差し引くことです。仕入税額控除を適用することで、納付する税額は軽減されます。 新幹線の費用など、公共交通機関による旅客の運送にも適格請求書は必要です。それゆえ会社としては、仕入税額控除適用のために領収書の保存を重要視するでしょう。 ■3万円未満の金額は会社の規定を確認する 一方、公共交通機関での支払いが3万円未満である場合、税法的には領収書が不要です。一定の事項が記載されている会社の帳簿のみの保存でも仕入税額控除が認められるとされています。 国税庁によると、「適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難」であることを理由に、「3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送」では、適格請求書の発行義務が免除されているからです。 この特例は「公共交通機関特例」と呼ばれます。本特例に当てはまる場合は、適格請求書なしでも仕入税額控除が適用可能です。 仮に今回のケースで新幹線代が3万円未満であれば、仕入税額控除の観点からは問題がないかもしれません。 ただし、ここでの解説はインボイス制度や消費税に関連した内容です。社員が立て替えた新幹線代の清算をどうするかなど、細かい部分については、会社の規定に従う必要があるでしょう。