当面存続のための修繕に13.5億円 老朽化で存廃検討の「日野橋」 鳥取県米子市が試算 市民アンケート実施へ
老朽化で存廃が検討されている鳥取県米子市の国登録有形文化財・日野橋について米子市が19日、橋を当面存続させるためにかかる修繕費用が13億5千万円になるとの試算を明らかにした。市は今後、市民約3千人を対象に無作為抽出したアンケートをする方針。 【写真】白い六つのアーチが特徴 存廃が議論されている日野橋(鳥取県米子市)
同日市内で開かれた日野橋の在り方を協議する委員会(委員長・福山敬鳥取大教授)で市の担当者が示した。 市によると、橋を存続させるためには、橋の塗膜部で検出された有害塗料の低濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)を2026年度中に除去したり、腐食部分を補修したりする必要がある。 これに加えて、5年ごとの定期点検と20年ごとの大規模修繕を続けて100年間維持させる場合、57億6千万円かかり、総額は71億1千万円になるとした。 一方、橋を撤去する場合は、工期が6年間で費用は約28億円が見込まれるという。 市民アンケートについては、無作為抽出した18歳以上の市民3千人に調査票を配布し、日野橋の利用頻度や橋への思いを聞くとともに、存続、撤去の意向を問う内容。今後、設問内容を精査し配布時期を決めるという。 市の説明に対し委員からは、20年ごとに大規模修繕する場合はその都度橋の存廃を検討すべきで、現時点で100年先までかかる費用を判断の前提とすべきではないという指摘や、文化財としての橋の価値を十分示した上で、アンケートをするべきだとの意見があった。
福山委員長は「アンケートを通じて市民の橋への認識を委員会で共有し、さまざまな可能性を含めて議論を進めたい」と話した。 日野橋は1929年に造られ全長366・6メートル。優れた景観とともに、同市車尾6丁目と吉岡を結ぶ生活道路として機能している。