タクシー不足解消の切り札か 安全崩壊の始まりか 「ライドシェア」議論が加速
一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」 タクシー不足など地域交通が抱える社会問題の解決策の一つとして期待される一方、安全面に対する不安などから反対の声も上がっています。導入をめぐる議論が進む中、推進派・慎重派それぞれの論点を整理しました。 【写真で見る】「タクシー」と「ライドシェア」の違い
ワーキンググループで議論されたのは
河野太郎デジタル担当大臣 「守るべきは規制ではなく国民の移動の自由であるという認識のもと『自動運転の早急な導入』『タクシーの規制緩和』『ライドシェア』この3点で地域の足を確保すべく、まずは年内に一定の結論を得るようスピード感を持って取り組んでいきたいと思います」 13日開かれた規制改革推進会議のワーキンググループ。観光地を有する自治体のトップらも参加して政府が導入を検討している「ライドシェア」について議論しました。 福岡市高島宗一郎市長 「時間帯で交通空白時間が生まれるということが課題となっています。雨、それから通勤通学の移動時、イベントがある時。こういった時はもうタクシーがつかまらない状況です」
「ライドシェア」 推進派と慎重派
一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」 「Uber」や「DiDi」などスマートフォンのアプリを使って一般ドライバーと利用者をマッチングするサービスで、アメリカや中国など海外では普及していますが、日本では「白タク行為」として禁止されていて、過疎地など特定地域でのみ認めれています。 ライドシェアの導入については、賛否両論あります。 推進派 LINEヤフー 川邊健太郎会長 「ライドシェアに関して日本は10年遅れてしまっているので、遅れてしまった分、良いとこ取りができると思う」 慎重派 全国ハイヤー・タクシー連合会 川鍋一朗会長 「規制改革推進会議ですから、みなさんもちろん規制改革に向かうのは当然ですけど、緩和すれば何らかの事故が起こりますので」
安全は担保されるのか
タクシー業界が導入に反対する主な理由は安全面です。現状の制度ではタクシーを運転するには二種免許が必要ですが、ライドシェアは普通免許で可能です。事故が起きた場合、タクシーは会社が対応しますが、ライドシェアはドライバーが個人で対応するほか、飲酒・労働時間のチェックや保険の加入に関するルールがありません。 第一交通産業 田中亮一郎社長 「安全・安心をある程度担保した上で解禁する議論ならいいけども、やってみて失敗したものを直そうというのは、絶対被害者が出るので、それは違うでしょう」 福岡県北九州市に本社を置き、タクシーの保有台数日本一を誇る第一交通産業。田中社長は「ライドシェアの導入には反対でも賛成でもない」としたうえで、まずはタクシーを増やすために規制を緩和するべきだと主張します。ライドシェアの導入が検討される背景には、タクシーの運転手不足があるからです。 具体的には、特定技能外国人の在留資格にタクシー運転手を加えること。また、営業区域や台数の制限撤廃などタクシー業界の規制緩和を求めています。 第一交通産業 田中社長 「70年前にできた道路運送法から基本何も変わっていない。こんなに足りない足りないって言われているんだったら需給調整なんてしている場合じゃないでしょう。それをライドシェアで補うのは変なので、タクシーで増やさせてくれということ」