「赤い文字」で書かれた値札は本当に安いのか?元国税職員が説く「堅実な人がハマりがちな罠」
元国税局職員であり、現役ファイナンシャルプランナー&お笑い芸人のさんきゅう倉田さんが、「35歳までに知っておきたいお金の話」をする連載第3回。今回は、ついやってしまいがちな浪費の防ぎ方を伝授します。(お笑い芸人・FP さんきゅう倉田) ● 買う前より「買った後」の方が 財布のひもが緩みやすい ネットで買い物をしたあとに、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というメッセージが表示されたことはありませんか。「もともとそんなつもりはなかったのに、つい買ってしまった……!」という人も多いのではないでしょうか。 テンション・リダクション効果といって、ヒトは買う前より買った後の方が、財布のひもが緩みやすくなるのです。 そのような消費者の心理を事業者側は理解しています。なので、あのようなメッセージを表示し、購入を促すというわけです。 この効果を知ったとき、ぼくはみやげ物屋を物色する自分の姿を想起しました。
ご当地感の権化のような置き物を眺めながら「本当に大事にするかな。部屋の中に置く場所があるかな。どうせすぐ飽きるんじゃないかな」などと考えてしまい、なかなか手が伸びません。 しかし、なんだかんだ理由を見つけて購入すると、堰(せき)を切ったように次々と購入してしまいました。たかだか数百円~千円の価格。この地に来ることはもうないかもしれない。買う後悔より、買わない後悔だ――。 初めの買い物でテンションが上がってしまって、不合理な行動を取りやすくなっていることに気づいていません。 買いたければ買えばいいと思います。ただ、自分の行動が不合理なものでないか、常に考えるべきでした。 自分の中に潜む不合理は、さまざまな場面で表出します。 例えば、家電量販店で、赤字で価格が表示されていたら、「お、安いかも」と思って手を伸ばしませんか。 閉店間際のスーパーで30%引きの商品を見つけ、食べられない量を買ったことがありませんか。 2000円のタクシー代を払うことを惜しんで深夜に家まで歩くけれど、2000円の還付金は手続きが面倒だから簡単に諦めていませんか。 同じ2000円であっても、常に同じように頑張れるとは限りません。なぜならヒトは不合理だから。不合理な行動は、必ずあなたの資産を蝕みます。 ● 「これもオススメ」に弱い人が やっておくべきこと 一つ買うと、ついつい他の商品も買ってしまう人は、まずは自分にそのような傾向があることを理解しましょう。 一つ買ってから、一度立ち止まって考えてみます。 「今の自分はいつもの自分と違う。テンションが上がっているだけだ。少し冷静になってから、買うか買わないか判断しよう」 そうすることで、無駄な買い物をぐっと減らすことができます。 洋服を買うときも、魅力的なシャツやワンピース、ジャケットを見つけて、すぐに購入していませんか。 どんな時に着るのか、組み合わせられる服があるか、どれくらい着るか、それらを踏まえてその服のパフォーマンスが価格に見合っているか、考えてみてください。 着る機会がほとんどない服を買ってしまったことはありませんか。