17億円の損害賠償「払う気ない」と発言…「漫画村」運営者の言い分は通るのか【「表と裏」の法律知識】
【「表と裏」の法律知識】#233 訴えていた出版社側によると、著作権に関する民事訴訟の判決としては、過去最大の賠償額とのことです。 「逆走しても大丈夫」「注意されるだけでしょ」…自転車の交通違反が許される時代はもう終わった 著作者や出版社に無断で漫画などのコンテンツを公開する「海賊版サイト」のひとつである「漫画村」の元運営者の男性が4月18日、約17億円の損害賠償の支払いを命じられました。この男性はすでに著作権法違反などの罪で懲役3年などの実刑判決が確定し、刑に服していましたが、今回民事の方でも責任を追及されることになります。 一方で、元運営者の男性は、「払うつもりはない」との発言をしているようです。果たして17億円は払わないで済むのでしょうか。 民事訴訟において金銭の支払いを命ずる判決が出た場合、自動的にその金銭が支払われるわけではありません。支払いを命じられた側(債務者)が支払いに応じる意思があり、支払うための経済的な余裕があれば、任意に支払いがなされる可能性もありますが、支払いがなされない場合は、民事訴訟とは別に、強制執行の手続きを行わなければなりません。 強制執行は、債務者の財産を調査し、具体的に財産を特定した上で行わなければなりません。債務者に財産がないとか、あるいは法の及ばぬ海外に隠している場合などは強制執行が空振りに終わることも少なくありません。 そして強制執行を逃れたというだけでは、犯罪にも問われません。 このように、判決が出たからといって直ちに賠償を受けられるわけではないというのが、訴訟の難しいところだと思います。 「漫画村」の男性側は東京地裁の判決の内容に不服があるとして控訴をしているようです。約17億円もの訴訟の控訴審となると、その費用(裁判所に納める印紙代)も600万円を超えてきますが、男性側にどの程度の金銭的な余裕があるのかないのか、気になるところです。まだ時間がかかりそうですが、巨額の損害賠償金の回収ができるのか注目される裁判になりそうです。 (髙橋裕樹/弁護士)