ベンツ、車を900台壊しながら研究…テスラを抜いた中国BYDに超緊張[EV血闘]
中国電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)の今年7-9月期の売上がテスラを超えた。BYDが四半期売上でテスラよりも高い実績をあげたのは今回が初めて。 30日(現地時間)、BYDの実績発表によると、7-9月期売上高は2011億元(約4兆3050億円、283億ドル)で、昨年同期に比べて24%の伸びとなった。テスラの7-9月期売上は252億ドルだ。この期間、純利益はBYD116億元(約2483億円)、テスラ22億ドル(約3354億円)だ。 BYDの売上成長は中国政府のエコカー購入補助金の影響だというのが業界の評価だ。補助金支給対象のエコカーにはプラグインハイブリッドなども含まれる。中国消費者は中央・地方政府の補助金をすべて加えて最大約80万円までインセンティブを受けることができるという。これを受けて、BYDが7-9月期に販売したプラグインハイブリッドカーは1年前に比べて76%増となる68万5830台に達する。 ◇ベンツは安全性強化、フォルクスワーゲンは賃金削減 ただし、BYDの純粋なEV販売量は44万3426台で、テスラ(46万2890台)よりも少なかった。ロイターなど外信や業界は純粋なEV市場で中国内の他メーカーとの競争が激化した影響を受けたと分析した。 BYDを筆頭にした中国EVメーカーの浮上が実績でも確認され、欧州・米国の伝統自動車強豪の動きも忙しくなった。欧州連合(EU)や米国などが中国製EVに対する関税率を高めたこととは別に、企業も対応体系を準備中だ。 メルセデスベンツは一日平均3台(年900台)の車両衝突試験を通じて安全性と品質向上に集中している。記者が22日に訪問したドイツ・ジンデルフィンゲンのベンツ車両安全技術センターでは、2025年発売を控えた電気セダンEQSがテストを待っていた。70メートル先にある鉄材造形物の上に舞台照明のような明るい光が照らされると、やがてEQSが急加速をしながら走って行って大きな衝突音とともにぶつかった。1800万円近い車の左ボンネットが前輪のある所まで歪む水準だった。 若干の煙が上がったが火事は起こっていない。運転席に座らされたダミーも傷一つない。EV衝突試験エンジニアのマルセル・ブロドベック氏は「車両の速度が急減すると同時にすぐに高電圧システムが遮断されて電流が切れる」とし「この過程が1000分の1秒で進み、事故を予防する」と説明した。 フォルクスワーゲンは強力な構造調整を断行中だ。30日(現地時間)に発表されたフォルクスワーゲンの7-9月期営業利益は28億6000万ユーロ(約4743億円)で昨年同期比42%減となった。売上高も0.5%減となる785億ユーロにとどまった。フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、フォルクスワーゲンは実績発表で「競争力を維持するためには100億ユーロ以上のコスト削減が必要だ」と明らかにした。続いてフォルクスワーゲンは職員に賃金10%削減を要求した。同社はまた、ドイツ内の工場3カ所を閉鎖する計画だ。 一方、フォードは7-9月期売上462億ドルで、前年同期比13%成長した。Fシリーズピックアップトラックが人気を博したおかげだ。だが、EV部門では12億ドルの損失を被って苦戦した。28日の実績発表後、フォード株価は時間外取り引きで6%近く下落した。 現代(ヒョンデ)自動車グループはEV需要の増加傾向が停滞した「キャズム」状況でハイブリッドカーで収益性を取り戻し、EVとソフトウェア基盤車両(SDV)など未来モビリティの競争力を高める考えだ。現代自の張在勲(チャン・ジェフン)社長は28日、東京特派員と会った席で「(キャズムで)時間を稼いで機会にしたい」とし「EV専用プラットフォーム『E-GMP』の後に続く新プラットフォームでは、バッテリーとシャーシーを一体型としてEVを製作できるだろう」と話した。