伊藤淳史と仲村トオルのコンビが新たな謎に挑む「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」
2008年に第1シーズンが放送され好評を博したドラマシリーズ「チーム・バチスタ」。第1シーズンでは手術を隠れ蓑にした殺人疑惑、第2シーズンでは救命医の収賄疑惑と、現代の医療問題を取り上げた内容に加え、伊藤淳史が演じる心療内科医・田口公平と、仲村トオルが演じる厚生労働省官僚・白鳥圭輔のコンビの活躍もシリーズの魅力だった。 【写真を見る】伊藤淳史が白衣姿で、純粋で真面目な心療内科医を演じる 純粋で真面目、患者への思いやりに溢れる田口。飄々としながらも押しの強い言動が特徴で、"変人官僚"とまで呼ばれる白鳥。立場も性格も違う2人の掛け合いはまさに絶妙。シリーズが進むに連れ2人の関係も進展していき、2014年放送の第4シーズン「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」では"腐れ縁"といった雰囲気になっている。ここでは第4シーズンにおける2人を見ていこう。 物語は、東城医大病院に努める田口が地方の総合病院「碧翠院」に派遣されるところから始まる。壁翠院の院長は桜宮巌雄(柳葉敏郎)で、回復の見込みがない患者に最後まで自分らしく生きることを勧める「終末期医療」に取り組んでいる。死を待つ患者だけでなく、患者を看取る終末期医療はスタッフの負担も大きく、そのケアのために田口が必要というわけだ。 各話で完結するエピソードでは、主に田口の活躍が描かれる。例えば第1話では、末期がんの患者に孫が生まれ、田口は家族で過ごせるようにと在宅医療を勧める。その時の晴れやかな表情は、患者を思いやる田口らしい表情だ。また若くしてがんを患った患者に、最初は拒絶されながらも親身になって接したり、各話で田口らしい優しさ、思いやりが描き出される。 しかし終末期医療は田口にとって、助けたくても何もしてあげられない辛いものであり、第4話で親しかった患者が亡くなった時は、見ていて胸が締め付けられるほど悔しげな表情で涙を流す。人の死に直面する「終末期医療」がテーマの第4シーズンは、他のシーズンと比べると「重い」と言われる。しかし、患者が抱える悲しみと葛藤に真摯に向き合う田口の存在が救いとなっていることは確かだ。 一方の白鳥は、冒頭では皮膚科の医師として壁翠院に在籍している。無精髭を生やし、妙に馴れ馴れしい怪しい医師にしか見えないのだが、実は壁翠院の闇を告発する手紙を受け取っていて、その調査のために潜入していた。さらには、壁翠院の闇を告発しようとしていた立花という放射線科医が失踪してしまう。壁翠院の謎を暴き出すのが、シーズンを通じての白鳥の目的となる。 立花が失踪した後、白鳥は院長の巌雄に笑顔で「(失踪の)理由を知っているのは...巌雄先生、あなたですよね?」と詰め寄る。飄々としながらも相手を追い込む雰囲気は只者ではない。また物語が進むと、白鳥のもとに得体の知れないCT画像が次々に届くようになる。それに対して「誰か僕を試してる?」と言い放った時は、売られたケンカは買う、という空気がありありと出ている。常に強気で、調査のためなら手段も言葉も選ばない。そんな個性極まる白鳥を印象深く演じる仲村もさすがと言えるだろう。 そんな田口と白鳥のユニークな掛け合いも見どころで、塀を乗り越えて田口が暮らす部屋の外に突然白鳥が現れた時にはびっくりすると同時に吹き出してしまうし、田口の部屋ですき焼きを準備していた白鳥のニヤケ顔にも思わずクスッとさせられる。ストーリーが重めなだけに、コミカルなシーンもより楽しく感じられる。 壁翠院にはどんな謎が隠されているのか。2人の活躍や掛け合いだけでなく、院長の桜宮巌雄を演じる柳葉敏郎ら、豪華キャストの演技もじっくり味わいながら、ぜひ本作をラストまで楽しんでほしい。 文=堀慎二郎
HOMINIS