大島優子、11年ぶりの日曜劇場出演に抱いていた不安を明かす「『やるしかないな』と尻を叩かれた」<アンチヒーロー>
長谷川博己主演の日曜劇場「アンチヒーロー」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)が現在放送中。同ドラマは、長谷川が7年ぶりに日曜劇場で主演を務める、日本の司法組織を舞台とした“逆転パラドックスエンターテインメント”。「正義の反対は、本当に悪なのだろうか」ということを視聴者に問い掛け、スピーディーな展開で次々と常識を覆していく。 【写真】ドレスアップし潜入捜査をする大島優子“白木” 長谷川は「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹を演じ、明墨と同じ法律事務所で働く同僚弁護士・赤峰柊斗役の北村匠海、同じく同僚弁護士・紫ノ宮飛鳥役の堀田真由、パラリーガル・白木凛役の大島優子、東京地方検察庁の検察官・緑川歩佳役の木村佳乃、検事正・伊達原泰輔役の野村萬斎らが脇を固める。 このたび、WEBザテレビジョンでは、明墨法律事務所の優秀なパラリーガルでありムードメーカーの白木を演じる大島にインタビューを実施。撮影で感じている思いや共演者の魅力、今後の見どころなどを聞いた。 ■「視聴者の方に一番近い感覚で物事を発する立場」 ――改めて、白木凛というキャラクターの解釈と役づくりについて教えてください。 個性の強い事務所の皆さんなので、その中での中和剤のようにバランスを取ってそこにいる存在が白木凛なのかなと思っています。明るく陽気に見えますが、ちゃんと一つずつの事件について分かりやすく自分の言葉で発しているので、視聴者の方に一番近い感覚で物事を発する立場かなと思って演じています。 実際の捜査に関与するというよりも、事務手続き的なことが多いのがパラリーガルのお仕事の役割だと思うので、小道具を見て「この捜査資料を作ったんだろうな」と思ったり、たまにロケで潜入捜査に参加するときは、「役に立ってるな~」と思いながら、楽しんで撮影しています。 ――ご自身との共通点や共感できる部分はありますか? 勝手な想像なのですが、白木は明墨法律事務所に入る前に何社か受けていたと思うんです。その中で何社かは断られたりしていて、弁護士を目指しながらパラリーガルでやっていくということは、少なからず挫折を経験している人なのではないかなと思います。 そういうところで、彼女の明るさや陽気さというのは、自身の過去の経験から培われて生まれたもので、いろいろな経験を経てそのように形成されていったキャラクターなのかなと思うと、そこはすごく分かるなと思いました。 共通点としては、最初の本読みの時点で飯田和孝プロデューサーから「そのままでやってもらって構わないです」と言われていたので、多分そのままだと思います(笑)。 ■漠然とした不安を抱え現場入りするが… ――11年ぶりの日曜劇場への出演かつ連続ドラマへの出演も久しぶりとなりましたが、現場に入る前はどのような気持ちでしたか? 不安でしかなかったです。「大丈夫かな、できるかな」「日曜劇場だしな」という漠然とした不安がありました。でも、本読みと顔合わせをやったときに、皆さんの気合や、それぞれの気持ちのこもったスピーチを聞いて、「やるしかないな」と尻を叩かれたような気持ちになりました。そこからは緊張や不安よりも、ちゃんと白木凛として役を担えたらなという思いでした。 ――周囲からの反響についてはどのように感じていますか? 最初は誰からも連絡がなかったんですよ!親とかいつも連絡をくれていたはずなのに今回はなくて。まるで反響がなくてびっくりしたのですが、第2、3話目ぐらいから友達から「見てるよ」という連絡がありました。 他の現場に行ったり、プライベートで美容室に行ったりしたときに、会う人会う人が「ちょっと待ってね、自分なりの考察を言ってみるね」と言い始めて(笑)、みんな見てくれているし、ちゃんと考察して楽しんでくれているなと思いました。 ――同作で今までにない経験だと感じていることや得られたものがあれば教えてください。 現場のスタッフさんや共演者の皆さんの気合の入り方がすごいんですよね。プロデューサーが4年間温めて大切に作ってきた企画というだけあって、そこに対する思いが一致団結している雰囲気もあって、本当にいいものを作ろうとみんなが思っているなとすごく感じます。なかなか他では感じたことのないような、質の高い現場だなと思います。 細かい設定までみんなが意見を出し合ってちゃんと作っていける現場で、疑問や腑に落ちないことを一緒に解決して納得することができる。口に出して言えるって、空気感が良くないとできないことだと思うので、すごくいい環境だと思うんですよね。空気感もいいですし、それぞれがプロフェッショナルだからそれが成り立っているというのが見て取れますね。 ――これまでの放送話の中で特に印象的だったシーンを教えてください。 第9話の最後に伊達原さんと対面するのですが、そのシーンがこの作品に入って一番緊張したかもしれません。白木はあまり誰かと対峙(たいじ)して話すシーンがなくて。第9話になってようやくちゃんと面と向かってセリフを交わすシーンが出てきたので、それもあって緊張したのもあるし、相手が野村萬斎さんだから緊張したのもありますね。 でも、役としてもそのまま緊張していていいシーンだと思ったので、それが功を奏しているのではないかなと思いながら、その感情を受け入れつつ演じました。 ■長谷川博己は「役者さんとして初めて見るタイプの方」 ――長谷川博己さんとの共演についてお聞かせください。 長谷川さんはすごく面白いです。役者さんとして初めて見るタイプの方で、明墨という役を現場で作っていくんですよね。自分の役柄を作ってから現場に入る人のほうが多いと思うのですが、ドライ、段取り、テスト、本番とその間に明墨というキャラクターが出来上がっていくのをまじまじと目の前で見せてくれるという。だからもう現場にいるだけで面白いし、楽しいと思いますね。 あとは、長ゼリフは場を持たせるのが難しいのですが、長谷川さんはそれをすごく考えてその場で作っていくので、発する言葉や動きにも新鮮味があります。なので、放送するときにもちゃんと新鮮味を保ったまま発信されているのだろうなと感じています。 ――北村匠海さん、堀田真由さん、林泰文さんも含めた明墨法律事務所メンバーの撮影現場での様子やチームワークを教えてください。 ロケがあった後に事務所に戻ると居心地がいいなと感じるぐらいで、ミルも入れたこの6人のメンバーがすごく心地がいいのだろうなというのは、撮影当初から感じていました。私と林さんは、ずっとプライベートの話しかしていないんですよ。だからそれが余計に和むのではないかなと思います。 特に真由ちゃんはいつもニコニコしていて、常にいろいろな言葉に反応してくれるのですが、紫ノ宮は真逆で、クールだし、笑わないし、反応してくれないし…というような役なので、真逆すぎて難しかったと思います。 でも、現場に入ると、紫ノ宮としてちゃんと存在しているし、クールでポーカーフェイスなのですが、繊細な気持ちがちゃんと目と眉毛で表現されていて、そこが彼女の芝居の魅力なのだろうなと思いました。 ■「『アンチヒーロー』という言葉を作ったことに、すごく納得がいった」 ――同作の魅力はどんなところだと思いますか? 正義と悪は表裏一体で、どう転ぶか分からないということを一番感じています。この前、実際の裁判を傍聴しに行って、殺人犯の判決を見たり、強盗致傷の第1回目の公判を見たのですが、裁判は本当に一日中ずっとやっていて、こんなに罪を犯した人がいるんだなと思って。これが毎日あるとなると、どれだけの犯罪がそこら中にあるのだろうと…。 そこには正義か悪かというものはあまり存在しなくて、いつの間にか魔が差して罪を犯してしまうことが誰にでもあることなんだなと思いました。なので、「アンチヒーロー」という言葉を作ったことに、すごく納得がいったんですよね。 アンチだけどヒーローにもなるし、ヒーローがアンチにもなり得るということがこの作品がうたっている部分でもあると思うので、そこが魅力だし、そこが誰にも判断できない難しいラインだなとすごく感じています。「あなたには何の正義がありますか?」と突きつけてくるのが、この作品の魅力だと思います。 ――大島さんが思う正義とはなんですか? 私が思う正義ですか…。法を犯さなければいいのではないですか。それが根底ですね。難しいですけど、人を傷つけないように生きようと思います。 ――最終話に向けて考察のヒントがあれば教えてください。 今まで私も一話一話を見ていて、「緋山―!」「伊達原―!」「えぇ、しのりん!?」と、最後の10分ぐらいで毎回そういう思いになって役名を叫んでいたのですが、ようやく「白木―!?」となれるのがうれしくて(笑)。第9話で「白木―!?」となるのですが、第10話でも「白木…」となると思うんですよ。 なので、皆さんがどういうふうに感情を動かされるかをすごく楽しみにしています。最終回でも展開が変わっていくので、楽しみにしていただけたらなと思います。 第1話の冒頭の接見室のシーンから伏線は散りばめられていますし、白木に関しては第7話ぐらいから「あれ?」みたいなシーンがあるかと思いますので、ぜひ第1話から振り返ってみてください。 ――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。 もう、見ていただけたら分かります。最後の最後に「えぇ!まさか!」と皆さんがびっくりするような展開が繰り広げられていくので、最後まで気が抜けないですし、ギアが上がりっぱなしで終わるので、準備しておいてほしいです。