イチロー氏「危ないよね、この流れは」現代のデータ全盛野球へ警鐘 失われるもの「感性ですよ」
TBSは23日、「情熱大陸 2夜連続スペシャル」で、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)を特集し、松井秀喜氏(50=ヤンキースGM特別アドバイザー)と、現代のデータ野球へ警鐘を鳴らした。 【写真】10年ぶりに松井秀喜氏と再会したイチロー氏 メジャーリーグは00年台初頭から、野球における統計学を活用した「セイバーメトリクス」が発展。あらゆる指標でデータを集め「送りバントは有効か」など、あらゆるプレーが数値化される。さらに15年からは、投球の回転数や曲がり幅、打球速度などを解析する「スタットキャスト」を導入。現在は数値がクラウド上に集められ、リアルタイムで放送局やチームに提供される。選手はベンチでタブレットを見ながらデータを頭に入れる。 松井氏は「今の野球見ててストレスたまらないですか?」と語りかけると、イチロー氏は「たまる、たまる」と勢いよく答えた。同氏は「目で見える情報がインプットされて、ある意味では『洗脳』されてしまう。選手のメンタルはデータに反映されないわけだけど、それを一緒くたにしてしまうので、見えないことで大事なことはいっぱいあるのになって。危ないよね、この流れは。怖いのは日本は何年か遅れで追っていくので、それがまた怖いです」と、現代野球に疑問を呈した。 イチロー氏は、松井氏とのやりとり以外でもデータ野球に警鐘を鳴らした。インタビューでは「(データ野球で)失うものがあるとしたら?」という問いに、「感性ですよ。目で見えてるものしか信じられなくなる。何マイル以上なら何%の割合でヒットが出るってなっていくんですよ。でもそうじゃない技術がある。とにかく見えるものしか評価しないというのは、危険ですね」と語った。 同氏は19年3月の引退会見でも「野球は頭を使わなきゃできない競技なんですよ。でもそうじゃなくなってきているのが、どうも気持ち悪くて。日本がアメリカの野球に追従する必要なんか全くない」と話していた。