ピムコ、日銀利上げは年内2回を想定-夏ごろに国債買い入れ減額
(ブルームバーグ): 運用資産総額1兆8600億ドル(約288兆円)の米運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)は、2024年の日本銀行の金融政策について、年内2回の利上げをベースケースとして想定している。
ピムコジャパンリミテッド共同代表者兼アジア太平洋共同運用統括責任者の正直知哉氏は、日本の基調的インフレ率が1-2%程度に落ち着くことを念頭に日銀も2%の物価目標を柔軟化していくとみており、「夏ごろに0.25%、年末までに0.5%まで政策金利を引き上げる蓋然(がいぜん)性が高まっている」とメディア向け説明会で23日述べた。
ピムコは、日本は賃金と物価が好循環に入った確度が高まっているとみる。アベノミクス下で上昇してきた労働参加率が限界に近づき、労働者の構造的な不足が今後も続くと読む。その上で「最終的には0.75-1%まで金利が引き上げられてもおかしくない」との見通しを示した。
ピムコでは、日銀が利上げと並行して、夏ごろから国債の買い入れオペを減額し始めると予想。正直氏は、日銀が国債買い入れを減らしていきたいことは明らかだとする一方、市場に大きな影響を与えないようにしたいことも確かだとして、減額ペースは「そこをどう落とし込んでいくかだ」と述べた。
日銀が実際に国債買い入れを減額し始めた場合、市場は先を見て動くため、これまで日銀の大規模な買い入れによって金利が低く抑えられてきた10年以下のイールドカーブ(利回り曲線)は「徐々にプレミアムが戻ってくる」と正直氏は話す。
今後の投資戦略について正直氏は、日本国債はイールドカーブの形状が順イールドのため、債券を保有することでプラスのキャリー(期間収益)を得られるとして、「国内国債のアロケーションは少しずつ復元していく」と言う。国内債券のアクティブ運用も非常に重要で、「金利上昇下でデュレーションはベンチマーク比でアンダーウエート気味にする一方、超長期債は相対的に魅力が上がっている」と述べた。
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Saburo Funabiki, Yui Hasebe