J3に未来の代表候補チームを参加させる新プラン
未来の代表候補たちのチームがJ3に誕生するかもしれない。 Jリーグは16日に都内で開催した理事会で、来シーズンから新設されるJ3の参加チーム数を「12」、開催方式を3回戦総当たりのリーグ戦とすることを決定。さらには、J1およびJ2の全40クラブの若手選手の中から選抜チームを結成し、「特別参加枠(仮称)」としてJ3の12チームのひとつに加える是非を検討していくことを決めた。つまり、素質はあるが、まだJ1、J2レベルではレギュラーを押しのけて試合に出ることができない、若い未完の大器たちの混成チームである。 選抜チームの対象は18歳から22歳までになる見通しで、大枠の中から試合ごとに18人が選抜されていく予定。原則としてJ3の全33試合をアウェーで戦い、試合前日に開催都市に集合し、練習を行ってから公式戦に臨む。監督やコーチの人選を含めたチームの概要、選手の移動費や宿泊費などをどのように負担するかは、JリーグとJクラブ、日本サッカー協会の三者間で随時話し合っていく。 ちょうど大学生年代に当たる世代の強化は、JリーグおよびJクラブにとって長年の懸案事項だった。Jリーグ創設当初はプロ野球の二軍戦に当たるサテライトリーグが設けられていたが、経費の削減などを理由に年々規模が縮小され、ついには2009年シーズン限りで廃止となった。各クラブはリーグ戦翌日や週の中日に近隣のJクラブやJFL、大学生チームなどと練習試合を組み、トップチームの試合に出られない若手選手に実戦の機会を与えてきた。 しかしながら、2004年アテネ、2008年北京の両五輪において、23歳以下で構成される五輪代表がともに最下位で予選リーグ敗退。衝撃を受けた日本協会の技術委員会内で「練習試合ではなく、お客さんが入った真剣勝負の舞台で試合をさせることによって若手の能力を高めないといけない」という声が一気に高まった。 一時はナビスコカップを「23歳以下+オーバーエイジ」の大会に変更してはどうか、というプランまで飛び出した。理事会後の記者会見に臨んだJリーグの中野幸夫専務理事は言う。 「高校やユースから入団した、その年代では一番の選手が例えば19歳の時にどれだけ試合に出ているのか、というのがこれまでの課題でした」 実戦経験が不足すれば、どんなに才能を秘めている選手も伸び悩んでしまう。挙げ句の果てに戦力外を告げられるケースも少なくなく、同じく会見に臨んだ大河正明管理統括本部長も「入団4年目でガクッと選手数が減ってしまう」と危機感を募らせる。 Jクラブに入団してリスクを冒すよりも、大学での4年間で心技体をしっかり磨いてからプロへ、というルートを選択する高校生やユース所属選手が増えているのが現状だ。 そうした状況下で昨年からJ3創設の機運が高まったことを受けて、若手の育成方法を探っていた日本協会の技術委員会が、選抜チームを特別参加させるプランを打診。Jクラブの強化担当者の賛同を得た上でこの日の理事会で提案された。各チームから「選抜チームに供出してもいい」とOKをもらっている若手選手の総数は、現時点で50人から60人に達しているという。 すでにJ2のファジアーノ岡山やFC岐阜、ザスパクサツ群馬が若手中心のセカンドチームを結成し、地域リーグに参戦させることで強化を図っているが、チームの垣根を越えた選抜チームをJ3の舞台で戦わせるプランはまさに画期的。私も大賛成だ。高校サッカーなどで活躍した話題性のある若手が選抜されれば、「対戦チームの集客にもつながる」と大河本部長は相乗効果にも期待を寄せる。 構想段階で発表したのは、選抜チームの参加がありえることを事前にアナウンスすることで、J3参入を希望している19チームに対して違和感や不快感を与えないためだ。最終決定は11月の理事会。大河正明管理統括本部長は「(否決される)可能性は少ないと思う」と見通しを語っている。 (文責・藤江直人/論スポ)