【選手権展望】Dブロック最大の注目は15年ぶりの選手権出場の帝京 鹿児島城西、明秀日立なども上位を狙う
どこが国立行きの切符を掴んでもおかしくないのがDブロックだ。最大の注目は15年ぶりの選手権出場を果たした帝京(東京B)。戦後最多となる6度の優勝経験を誇る名門校はU-18日本代表のDF田所莉旺(3年)、MF砂押大翔(3年)、FW宮本周征(2年)と縦のラインに注目選手が並ぶ。砂押が「練習の合間の水を飲み行く時も歩いていくのではなく、走るなど練習時間が限られている中でも工夫してきた。練習中もみんなで意見をぶつけ合って、良い強度と良い雰囲気が作れている」と話す通り、チームの雰囲気も良好で、上位に食い込むだけの力を持っている。 【トーナメント表】第103回全国高校サッカー選手権 開幕戦で対戦するのは2年連続11回目の出場を果たした京都橘(京都)。今年はプリンス関西1部で残留争いに巻き込まれるなど苦戦が続いたが、攻撃の中心だったDF宮地陸翔(3年)とDF増井那月(3年)を最終ラインにコンバートしてからはチームが安定。身体能力に長けたFW伊藤湊太(2年)なども台頭し、全国で戦えるだけのチームに変貌を遂げた。 勝ったチームがこのブロックの有力候補と言いたいところだが、隣には2024シーズンをプレミアWESTで戦った鹿児島城西(鹿児島)がいるため、勝ち上がるのは簡単ではない。今年はDF常眞亜斗(2年)、U-16日本代表候補のMF野村颯馬(2年)、“大迫二世”の異名を持つU-17日本代表のFW大石脩斗(2年)などタレント揃い。彼らが鹿児島城西らしい気持ちのこもったサッカーを展開するため、対戦相手にとっては厄介だ。鹿児島城西が1回戦で対戦する金沢学院大附(石川)も初出場とは思えない好チーム。ゲームメーカーのMF今鷹陸(3年)や、セービング力に定評のあるGK石山アレックス(2年)に注目だ。 他にも前年のインターハイ王者である明秀日立(茨城)も力は十分でGK重松陽(3年)、FW竹花龍生(3年)らが2度目の日本一を虎視眈々と狙っている。ただ、2回戦で対戦する近大和歌山(和歌山)も簡単に引き下がるつもりはない。「どこと当たっても何とも思っていない。相手に対して臆することなくチャレンジャー精神で挑んでいって、一発かますだけ」と話すのは藪真啓監督で、MF松林優(3年)を筆頭にドリブルを売りとする選手が多い今年の強みをぶつけていく。 隣の山の注目カードは東海大相模(神奈川)と草津東(滋賀)の一戦。インターハイで激戦区を制した勢いのまま初出場を掴んだ東海大相模はMF長井隆之介(3年)を中心としたポゼッションが光る好チーム。対する草津東も司令塔のMF上原周(3年)を起点とした攻撃が目を惹く。この2校への挑戦権をかけた戦いは予想がつかない。橋本俊一監督とGK橋本脩礼(3年)の親子鷹での戦いに注目が集まる東北学院(宮城)は、注目ストライカーのFW藤川陽太(3年)擁する奈良育英(奈良)の攻撃を封じられるかが試合のポイントになりそうだ。 ともに日本一の経験を持つ山梨学院高等学校(山梨)と滝川第二(兵庫)の一戦は1回戦屈指の好カード。前者は大型ボランチのMF根岸真(3年)、攻撃センスのあるFW関口翔吾(3年)以外にも実力者が揃い、誰が出ても遜色のないゲーム運びができる点が強み。後者は絶対的な中心選手であるMF三宅蔵ノ助(3年)を中心に技巧派が多いチームだが、夏以降はプレー強度が高まり、全国で戦えるチームに仕上がっている。どちらも勝った勢いで上位に顔を出しても不思議ではない。 (文・写真=森田将義)