メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1は、今季マシンW15に巣食う“根本的なバランス問題”を解決すべく、新しいパーツの開発に取り組んでいることを明らかにした。 【リザルト】F1 2024 中国GP決勝 現行レギュレーション導入から3年目となる2024年シーズン。メルセデスは今年も厳しいスタートを切り、W15は時折速さを見せるものの、レース週末を通じて安定した走りを発揮できずにいる。 そしてW15はスイートスポットにセットアップを合わせ込むことも難しいことから、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルのふたりは時に“ナイフの刃の上にいる”ような不安定な感覚と戦ってきた。 メルセデスは、次戦マイアミGPで投入が予定されている空力アップデートパッケージが全体的なパフォーマンス向上をもたらすことを期待しているが、チームは今後数戦にわたるアップデートも計画している。 メルセデスでテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、レース後に公開している動画で、マシンのハンドリングを改善することを目的とした新パーツ投入の計画を明らかにした。 「我々はマシンにアップデートパッケージを投入する予定だが、同時に我々を苦しめている根本的なバランスを改善するパーツも用意している」 アリソンはそう語り、アップダウンの激しい週末となった中国GPを振り返った。 「ああいう週末の後にこのような話をするのは辛いことだ。しかし、我々がレースを上手くやって、もっと上に戻り、前進している時、そういったことを話す喜びを感じられるレースが将来的にやってくるはずだということを忘れてはならない。その日はすぐに来ないだろうけどね」 またアリソンは、チームが中国GPでは上手くレースを運び2台がポイントを獲得した一方で、全体的なパフォーマンスという面では、彼とメルセデスが期待した高い基準には程遠かったと語った。 「今年はずっとフロントが厳しいマシンになっている。特に低速コーナーではそれが顕著にあらわれ、今回はターン11まで悪い面が出ていた」とアリソンは言う。 「フロントタイヤがコーナーで曲がってくれないということは、ドライバーはコーナー立ち上がりでアクセルを踏むタイミングをずっと待たなければならないということだ。そこでラップタイムが失われている」 「極端な話、マシンをコーナーで前に進ませるためには、スロットルでリヤを軽くして回る必要がある。そうするとリヤタイヤが(滑って)ダメになってしまうし、結果的にリヤタイヤがオーバーヒートしてしまう」 「ふたりともよく走ってくれたし、有能なドライバーだ。にも関わらず週末を棒にふるというのは、全く喜ばしいことではない。ハードウェア自体が必要かつ、そうあるべきところにいないというのも全くもって嬉しくはない」 「もちろん今後のレースで直面する課題は、マシンセットアップと、マシンに投入するパーツの両方をいじって改善することだ」 F1は今年からスプリントフォーマットに修正を加え、土曜日のスプリントレースから本戦用予選の間にパルクフェルメルールを一時解除し、各チームがマシンセットアップに変更を加えることができるようになった。 中国GPは今季初のスプリント開催となり、メルセデスはスプリントからグランプリ本戦に向けて大きなセットアップ変更を行なった。 結果的に期待された前進は見られなかったものの、アリソンは中国GPに続いてスプリントフォーマットでの開催となるマイアミGPでも、メルセデスがスプリントからグランプリ本戦に向けて大きなセットアップ変更を施すこともやぶさかではないと明かした。 「もし野心的にいきたいのであれば、スプリントレースで攻め、メインのレースではその逆ではなく調整を加えるべきだということをこの週末で学んだというのは間違いない」とアリソンは言う。 「マイアミに投入するアップデートが、少なくとも予選では僅差のグリッドで上手く機能してくれることを願っている」 「我々が戦っているポジションでは、100分の数秒やコンマ数秒の差が世界を変えることもある。その結果がどうなるか楽しみだ」
Jonathan Noble