【ネウクロ】撮り鉄と住民がタッグ 田園風景を守る取り組み
県外撮り鉄と地元農家で草刈り 新たな形模索
旧国鉄時代の塗装がされた特急列車と昔ながらの田園風景が一緒に撮影できることから多くの鉄道ファンが訪れる鳥取県日野町。一部のマナーを守らない鉄道ファンと地元住民の間でトラブルが絶えない中、日野町の田園風景を地元の人とともに守ろうと取り組む鉄道ファンを取材しました。 カメラを構える人たちで人だかりができているのは日野町下榎の踏切です。まっすぐに伸びた線路と田園風景が一緒に撮影できることから多くの撮り鉄が連日訪れています。 6月14日 国鉄色の特急やくもラストランを前に盛り上がりを見せている日野町の撮影スポット。しかし人気が上昇するにつれ、一部のファンのマナーが問題になっています。 こちらの画像は今年3月にSNSにアップされた特急やくもに抱き着く鉄道ファンの姿です。また、今年5月には新型の特急やくもが運行した初日に鉄道ファンと見られる男性が線路内に立ち入り列車を止めたことが分かりました。 こうしたトラブルからJR伯備線の沿線では地元住民から役場にクレームが相次ぐなど問題が起こるようになりました。 この日野町で15年ほど前から鉄道写真を撮り続けている小西昌史さんです。小西さんは米子市の印刷会社が発行した伯備線をテーマにした鉄道写真集への参加をきっかけに、日野町で四季折々の鉄道写真を撮影しています。 小西昌史さん 「日本の原風景が抜群に好き。全国にもだんだん少なくなっている。」 昔から変わらない風景に魅力を感じ、日野町で撮影する小西さん。 小西さんは地元の人に撮り鉄の事を知ってもらおうと自ら撮影した写真の展示会を町内で開いています。鉄道とともに写る日野町の風景を見てこの地域の良さを感じてほしいという思いがあります。 鉄道写真を通じて日野町の魅力を伝える小西さんですが、魅力を伝えるだけでなく、町民と共にこの風景を「守っていきたい」と思うようになりました。 愛する日野町の田園風景を残すため力になりたいと去年の秋から取り組んでいることがあります。それが、町内の農家と協力した草刈りイベントです。この日は小西さんの知り合いの撮り鉄や地元農家、町民などおよそ10人が参加しました。 この日はおよそ2時間 日野町下榎の草刈りを行ったあと、小西さんたちは農家とともに田んぼにレンゲの種を撒きました。 春にきれいな花を咲かせるレンゲ。地元の人と撮り鉄、一緒になって日野町の田園風景を作りたいという思いを込めました。 小西さんはこの後も草刈りを月に2回ほどのペースで続け、イベントにはのべ30人ほどの撮り鉄が参加しました。 そして今年5月。日野町下榎の線路沿いの田んぼには、小西さんたちと町民が一緒に植えたレンゲが咲きました。 小西さん 「6月14日の国鉄色ラストランを越えると人は来なくなると思う。でも、私はこの風景を守る力になりたいので、通い続けると思う。大切な風景をこの先も残していきたい。」 全国各地で話題になる撮り鉄と地元住民とのトラブル。そんな中日野町では撮り鉄と地元住民が一緒に昔ながらの風景を守っていこうとする取り組みが始まっています。