第160回芥川賞受賞会見(全文)上田岳弘さん「歌舞伎を見ながら連絡待っていた」
平成最後の第160回芥川賞・直木賞が16日夕、発表され、芥川賞には上田岳弘(たかひろ)さん(39)の「ニムロッド」と、町屋良平さん(35)の「1R(いちらうんど)1分34秒」の2作品が、直木賞には真藤順丈(じゅんじょう)さん(41)の「宝島」がそれぞれ選ばれた。同日夜、3氏の記者会見が都内のホテルで開かれた。 【動画】第160回芥川・直木賞の受賞作は? 社会学者・古市憲寿さんら候補 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「第160回芥川・直木賞の受賞作は? 社会学者・古市憲寿さんら候補」に対応しております。 ◇ ◇
今の気持ちを一言で
司会:はい、それでは記者会見に移らさせていただきます。上田さま、今の気持ちをまず一言、いただけますでしょうか。 上田:そうですね、良かったです。良かったと思います。 司会:よろしいですか。それでは質疑応答に移らせていただきます。挙手をいただきまして、所属とお名前をおっしゃってからご質問という形でお願いしたいと思います。ご質問のある方、挙手をお願いします。マイクをお願いします。
手際の良さを評価されたがどう思うか
日本経済新聞:日経新聞の【ゴウハラ 00:05:55】です。今回はおめでとうございます。 上田:ありがとうございます。 日本経済新聞:いきなり内容のことで、質問でいきたいと思うんですが、まず今日、選考委員の奥泉光さんから講評があって、評価のポイントとして非常に多彩な要素を手際良くまとめたという、手際の良さみたいなところを複数回おっしゃっていたんですね。いわゆる主人公と恋人であるとか、あとは会社の社長、同僚の人たちとの関係プラス、神話的なイメージ、もしくは駄目な飛行機という、あのイメージですね、そういったものが非常に、大きなものと、いわゆる非常に身近なものというのが合わさったような、そこの手際の良さみたいなところを評価する声がありました。そこの部分、その評価というものは上田さんにとってはどういうふうに思われますか。 上田:ある意味、僕の作品って、わりと同じモチーフがいろんな作品で共通して出てくるんですが、それが、また同じかよと思われることもあると思うんですけど、僕の中では1作1作、進化していったりだとか、そういうふうに書いてるつもりで、そういった意味で、使い慣れてると言ったらあれですけれども、前の作品に対してはこのモチーフって、さらに言うと、深めていくとどういうことになるんだろうっていうのを常に考えながら書いているので、それがある意味、手際の良さと映ったんじゃないかなと思いますね。 日本経済新聞:非常に今回はリーダブル、いわゆる読みやすいふうになっているっていうふうに、今までの作品に比べたらということだと思うんですけど。 上田:そうですね。 日本経済新聞:そこはどうでしょう、意識されましたか。 上田:そうですね、最初はデビューして1作、2作目っていうのは、自分がどれだけ速い球が投げれるのかなっていう、そういう興味で書いていた部分はあるんですけど、だんだん作品を重ねていくごとに、もっと広く読んでもらいたいなと思いながら、とはいえ、読みやすいからといって、芸術性と言ったらおこがましいですけど、そういった深い部分が浅くなってしまうのは違うなという中で、毎回、試行錯誤はしてるんですけど、極力読みやすく、かつ作品の重要性は失わずっていうふうに思いながら書いてますね。 日本経済新聞:ありがとうございます。 司会:ほかにご質問のある方。はい、じゃあ真ん中の女性の方。