第160回芥川賞受賞会見(全文)上田岳弘さん「歌舞伎を見ながら連絡待っていた」
企業役員と小説執筆をどう両立しているのか
毎日新聞:毎日新聞の大原と申します。おめでとうございます。 上田:ありがとうございます。 毎日新聞:上田さん、いわゆるIT企業の役員を現役でされてると思いますが、あらためて小説を書くこととどういったふうに両立したり、切り分けたりされてるか、そして芥川賞作家になって、そういった配分や意識が何か変わることがありそうかどうかということを教えてください。 上田:なんでしょうね、ある意味すでにオーバーフローというか、いっぱいいっぱいなんで、お願い、お願いっていうかニーズがありそうなことをやるっていう感じになっちゃってて、今後に関してはよく分かんないですけど、バランスを取ってやっていくっていうふうには思ってますけどね。 毎日新聞:ご自身にとっても企業の役員の仕事、足場として非常に大事といいますか。 上田:そうですね、そう思ってます。すいません。ありがとうございます。 司会:ありがとうございました。 上田:ありがとうございます。 司会:もうお一方ぐらいいらっしゃいますかね。では後ろ。
新人賞と芥川賞、受賞連絡時にうれしかったのは?
ニコニコ動画:ニコニコ動画の高畑と申します。受賞おめでとうございます。 上田:ありがとうございます。 ニコニコ動画:神奈川県20代男性の方からの質問を代わりに代読させていただきます。 上田:はい。どうぞどうぞ。 ニコニコ動画:今作の登場人物のニムロッドさんは、新人賞の最終候補で3回落選していると。上田さんも新人賞の最終選考で落選されたことがあると思うんですけれども、新人賞を受賞されたときと今回の芥川賞を受賞されたときと、両方とも連絡が来たと思うんですけれども、どちらがうれしかったという質問です。 上田:うーん、そうですね、実は新人賞の落選、僕、2回経験してて、公募のほうの。3回目だったんで、あのときは本当にうれしかったというか、なんでしょうね、表現しづらいですね。それだけで200~300枚書けそうな感じですね。今回は『番町皿屋敷』の合間だったんで、ある意味、気が紛れた面もあって、やっぱり公募の新人賞で、これでみんなに読んでもらえるってなったときのほうが、申し訳ないけど、うれしかったというか、感情は動きましたね。 ニコニコ動画:ありがとうございます。 司会:では最後に上田さん、言い残されたような言葉はございますかね。 上田:今回『ニムロッド』っていうタイトルで小説を書いたんですけど、僕の好きなロックバンドの、People In The Boxっていうバンドがあるんですけど、その「ニムロッド」って、同じ、同名曲を、僕もすごく好きで、このタイトルでいつか小説を書きたいなと思ってたので、これで書けて良かったなと思います。 司会:どうもありがとうございました。 上田:ありがとうございました。 (完)【書き起こし】第160回芥川賞受賞会見