【選手権】DF宮地陸翔主将が後輩にエール「来年頑張ってこの舞台に戻ってきてほしい」京都橘は無念の2年連続での初戦敗退
今大会で11度目の選手権出場となる京都橘は過去2度国立の舞台を経験しているが、一度も開幕戦を経験していなかった。11月半ばに行なわれた抽選会の前に、米澤一成監督から「開幕戦をやってみたいから、開幕戦を引いてこい」と声をかけられた主将のDF宮地陸翔(3年)は期待に応え、見事開幕戦のくじを引き当てた。 【フォトギャラリー】帝京vs京都橘 多くの人が注目するカードだったが、「ずっと国立でサッカーをするとイメージしながらやってきたので、そこは問題なくプレーすることができた」(宮地)ため緊張した様子は見られない。だが、試合の鍵を握ると踏んでいた序盤にCKからヘディングシュートを決められ、追いかける展開を強いられた。 後半半ばからはシステムを4バックから3バックに変更。「サイドバックのスペースが空いていると試合前から話していて、そこに圧力をかけて点を取るサッカーに変えた」と振り返るのは宮地でサイドバックからウイングバックに上がったDF17増井那月(3年)が本職FWの意地を見せてシュートまで持ち込むなど見せ場を作る。 「東京都予選の決勝を見た感じ、20番の裏が空くかなと思っていたので、裏を積極的に狙いました」。そう振り返るFW9伊藤湊太(2年)もスペースへの飛び出しから思い切りの良いドリブルを仕掛けてシュートまで持ち込んだが、思い通りにゴールが奪えない。それでも諦めずに攻め続けると73分にはMF6執行隼真(3年)が短く入れたCKのリターンをゴール前に展開。MF10桐原惺流(3年)が頭で合わせて同点に追いついた。 このままの勢いで逆転まで持ち込みたかったが、直後の76分には中盤でのボールロストを自陣に展開されるとFW10森田晃(3年)のポストプレーから、FW9宮本周征(2年)に決められ、再びリードを許す。結局、そのままタイムアップを迎え、2年連続での初戦敗退となった。 試合後、米澤監督は「落ち着けと声をかけていたのですが、2点目をどうしても欲しがったところを裏返されたのかなと思います」と後悔を口にしたが、新チーム発足後から勝てない時期が続いた今年の京都橘が全国の舞台までたどり着いたこと自体が賞賛に値する。 2月の新人戦はライバル・東山に敗れ準優勝。夏のインターハイも大谷に敗れ、ベスト8で姿を消した。プリンスリーグ関西でも負けが込み、12試合連続で白星から見放された時期もあった。それでも夏以降は徐々に調子を上げ、選手権予選決勝は東山に押し込まれながらも粘り強く戦い、PK戦で勝利。我慢強い戦いから、逞しく成長を遂げた今年の代について米澤監督はこう評する。 「全く勝点が取れなかった中、1年間通して彼らの良いところは諦めなかったし、気持ちが切れなかった。努力を続けたといいますか、結果も含めて前向きに次の行動をできたのが彼らの良さ。今日の負けも彼らの良さを生かせば負けで終わらないようになる」 昨年の先輩たちから受け継いだ選手権出場というバトンを今年の代は苦しみながらも受け継ぐことができた。「チームメイトを信じて、最後まで戦い続けた結果こうやって素晴らしい国立のピッチでプレーすることができた。準決勝、決勝とまたここでプレーしたかったのですが、実らなかったので、1、2年生には来年頑張ってこの舞台に戻ってきてほしいなと思います」。そう宮地がエールを送るように来年はまた下級生たちがバトンを受け継いでくれるはずだ。 (文・写真=森田将義)