【BCクラシック】ダート戦線で活躍見せる日本馬たち 現代の礎となったエスポワールシチーの挑戦
今週、アメリカではブリーダーズカップ(以下BC)デーが2日にわたって開催される。 メインはもちろん、BCクラシック。アメリカの主流となるダート競馬の根幹距離による最強馬決定戦だ。2010年、チャーチルダウンズ競馬場で行われたこのレースに挑んだのがエスポワールシチー(牡・安達)だった。 この年、大きな注目を集めたのはゼニヤッタ。強烈な差し脚を武器にデビューからここまで19戦19勝。これが現役最後の1戦で、引退の花道を飾れるか、競馬ファンの視線が集中した。 しかし、結果はまさかの2着。もっとも、勝利したのはエスポワールシチーでもなく、ブレイム。日本からの挑戦者は残念ながら12頭立ての10着に沈んだ。 レースに臨むまでにはパドックや装鞍所を連日スクーリング(下見)したり、あえて開催当日にパドックを回したりする陣営もいる中、エスポワールシチーはただの一度も下見をせず。安達調教師は「競馬場での調教で既に気合が乗っているので、これ以上カリカリさせたくない」とその理由を語った。 また、地元勢が皆、ラシックス(水分やカリウム等を排せつすることにより血圧を下げる薬物だが、競走能力を高める効果もあると言われており、当時は使用禁止になっていなかったためアメリカ競走馬の多くが使用していた)を使用する中、日本のやり方と帰国後のことを考慮し、安達調教師は使用しなかった。 また、レース当日には真っ先に馬場入りさせるなど、懸命に様々な手を打っていたのだ。それでも海外遠征の難しさは襲いかかった。 「軽いものでしたが、到着直後に腹痛に見舞われるなど、なかなか思った通りにいきませんでした」 当時、指揮官はそう語った。 先述した通り、結果は敗れるのだが、レースは半マイル通過47秒台、同1200メートルが1分11秒台という芝並みのペースにもかかわらずエスポワールシチーは悠々と先行し、最終コーナーでは先頭に立つシーンを演出した。 当時は安達調教師をはじめとした関係者の皆がガックリとうなだれたが、その競馬ぶりは今考えると現在のダート戦線での日本馬の活躍の兆候を見せていたのかもしれない。今年のBCクラシックにはウシュバテソーロ(牡7・高木)、デルマソトガケ(牡4・音無)、フォーエバーヤング(牡3・矢作)と3頭の日本馬が挑戦する。好結果を期待しよう。(平松さとし)
東スポ競馬編集部