国民民主、協議継続引き出した自民とのチキンレース 予算反対で揺さぶり
国民民主党は20日の自民、公明両党との3党幹事長会談で、所得税が生じる「年収103万円の壁」に関する継続協議を引き出した。自民は国民民主と引き上げ幅で折り合えず、日本維新の会にも触手を伸ばして揺さぶったが、国民民主が令和7年度予算案への反対をちらつかせるチキンレースに持ち込み、自民も決裂回避を選んだ。 【表でみる】控除額を178万円に引き上げた場合の年収別減税額 ■「調子に乗りすぎている」 「国民の皆さんにしっかりと(引き上げ額を)178万円に近づける形でお示しする」 国民民主の榛葉賀津也幹事長は、協議の再開が決まった自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長との国会内での会談後、記者団にこう語り、改めて引き上げ幅の拡大を目指す方針を強調した。 3党の幹事長は11日の会談で「178万円を目指して来年から引き上げる」と合意した。だが、13日に自公側は引き上げ額として国民民主の要望とは程遠い123万円を提示し、お互い一歩も譲らなかったため、国民民主が17日に協議を打ち切った。自民内からは国民民主の振る舞いについて「あまりにも調子に乗りすぎている」(幹部)との声が上がった。 ■両方から拒絶のリスクも 国民民主との交渉が行き詰まる中、自民は維新にも触手を伸ばした。自民は維新を取り込むため、19日に教育無償化に関する協議を始めた。前原誠司共同代表は7年度予算案に「賛成することも選択肢だ」と含みを持たせた。自維接近について国民民主幹部は「それなら維新とやればいい」と突き放し、7年度予算案への反対論も浮上した。 ただ、自民には維新への不信も根強い。先の通常国会で成立した改正政治資金規正法を巡り、衆院では賛成したが、参院では反対に回ったためだ。12月に発足したばかりの維新新執行部とのパイプも細い。 国民民主と維新を両てんびんにかけるような態度をとり続ければ、双方から拒絶されるリスクを負う。最終的に、これまで協議を重ねてきた国民民主をつなぎ留める方針に傾いた。 「20日以降も協議を続けてほしい」