県政を襲ったトラブルと検察が狙う「さらに大きな問題」 大石賢吾知事を刑事告発、政界に走る緊張感…〝震源〟は長崎県に
【ニュース裏表 安積明子】 最近、地方政界の騒動で永田町に緊張感が走っている。 〝震源〟は長崎県だ。2022年の県知事選で、わずか541票差の接戦で現職をかわして初当選した大石賢吾知事が、公職選挙法違反容疑で検察などに刑事告発されるトラブルが起きている。22年の知事選はこの大石氏と、現職(当時)への支持で自民党が割れる分裂選挙となり、禍根を残している。 前出の刑事告発は、大石氏や陣営の出納責任者、東京が拠点の選挙コンサルタントらが買収に関与したとの指摘で、関係者が事情聴取されたとの情報がある。検察は「さらに大きな問題」にも関心を示しているとの憶測もある。 大石氏は先月24日の県議会で、知事選が行われた22年の自身の後援会の政治資金収支報告書の内容を一部訂正する意向を示していた。 この収支報告書によれば、大石氏は22年2月、選対幹部の自民党県議の後援会から286万円を借り入れ、同年12月に利息分7万3106円を加えて返金している。 助言したのは、前述の選挙コンサルタントとされるが、この借り入れについて「政治倫理上の問題」を指摘され、大石氏は「寄付」に訂正する意向を示していた。ところが28日に突然、「私の承諾なく、多額の出金があった」と不正経理の疑惑を明かし、当時の監査業務担当者に資金が渡った可能性を示唆して、さらなる調査を表明したのだ。 長崎での混乱はこれにとどまらない。来夏の参院選長崎選挙区を巡り、自民党県連が党員投票を行い、現職の古賀友一郎県連会長と、山下博史県議のいずれかを候補予定者に選任することを決定した。 現職の古賀氏が続投意欲を見せているのに、別候補を検討するのは異例中の異例だ。 報道では、自民党が3選挙区で〝全敗〟した4月の衆院補選の影響が指摘される。長崎3区でも自民党は候補を立てられず、「不戦敗」となったが、この責任を県連会長の古賀氏に求めたというのだ。 ある関係者が打ち明ける。