刑務所を出て、蜂蜜を作る女性たち 自立更生への道「社会との関わりに」
刑務所を出て埼玉県久喜市の自立支援施設で暮らす女性たちが、蜂蜜作りに奮闘している。施設を運営する一般社団法人「皆登会」(同市)が、就労プロジェクトの一環として事業を展開。生産から販売までを入所者が担う。担当者は「仕事にやりがいを感じてもらい、再犯防止につなげたい」と意気込む。(共同通信=櫛部紗永) 皆登会は元受刑者や身寄りのない女性の支援を目的に、2019年4月に設立された。会が運営する「埼玉県女子自立更生センター」では、女性たちが共同生活しながら、就労体験や資格取得に取り組んでいる。 プロジェクトは約3年前に始動。会の関係者に養蜂家がいたことがきっかけで、養蜂場を作るため、さいたま市の土手に土地を借り上げた。草刈りに始まり、巣箱の手入れやミツバチの管理―。年1度の採蜜に向け、外部の別の養蜂家に指導を受けて改良を重ねた。 昨年5月には、一斗缶7本分(約126リットル)を収穫。純度100%の蜂蜜の商品化にこぎ着けた。蜂蜜の加工・製造にも挑戦し、自ら手作業で煮沸や瓶詰めを行った。
犯罪のない社会を目指す運動のシンボル「幸福の黄色い羽根」にちなんで「幸せの黄金ハチミツ」と名付け、ラベルには羽根のデザインをあしらった。昨年夏からインターネットなどで販売すると、「ふくよかな味わい」と好評だった。 これまでプロジェクトに携わった入所者は10人ほど。参加した女性(38)は「ひきこもりがちで部屋にいることが多かったが、人と関わるきっかけをもらった。頑張って作った商品が売れると、うれしい」と語る。 売り上げの一部は入所者の報酬になる。センターの施設長星野善美さん(62)は「社会から孤立させないために彼女たちとどう向き合うか。購入した方にも考えてもらえれば」と話した。