福岡の公立校に現れた潜在能力バツグンの2年生投手・木村光士郎(田川)がベールを脱ぐ!
福岡県立田川高校に、興味深い投手が現れた。まだ2年生だが、身長182センチ、体重88キロという恵まれた体格から、140キロを投げ込む木村 光士郎だ。もともと中学時代にはキャッチャーを務め、地肩の強さは群を抜いていたという。当時、後藤寺中(現在は統合で田川西中)で監督をしていた近藤智章が振り返る。 「盗塁はほとんどされなかったですね。肩が強いので、もし走ってきても、必ず盗塁を刺すように伝えていました。一度盗塁を刺してしまえば次からは走ってこられなかったですね」 【トーナメント表】夏の福岡県大会 3日までの結果一覧 そんな、地肩の強さと球の速さに目をつけたのが、木村の試合を見に来ていた田川高校の松尾光弘監督だった。 「ピッチャーとして使いたいので、うちに来ないか」 そんな言葉をきっかけに、木村は田川への進学を決め、高校から本格的にピッチャーへと転向する。キャリアはまだ浅いものの、潜在能力は高く今後の成長が大いに期待される選手だ。
「高校野球の先へ」将来を見据えた育成
木村の現在のピッチングスタイルは、ストレートとフォークが武器。6月25日、筑豊緑地野球場で行われた飯塚との練習試合でも、直球は139キロを記録するなど力のあるボールを投げ込んだ。3年生の主戦投手・篠原 空翔(3年)は「木村は、球の強さがある。真っすぐで押せる力があるので、頼りになります」と評する。 木村の成長には、冬場のトレーニングが大きく寄与している。ウェイトトレーニングを中心に体力を向上させたことで、スタミナが大幅に増加し、長いイニングを投げ切る力がついてきた。木村は言う。 「以前は先発を任されても、5、6回から、相手打線に対応されたり、球のキレがなくなっていました。4月の練習試合から、球質が落ちず、体力が上がってきたのを感じました」 とはいえ、まだまだ荒削りな部分もある。松尾監督は、「細かいコントロールとか、そういうタイプではまだないです。今は力のある球をどれだけ投げられるか。小さくならずに大きく育ってほしいです。球威のある球で押せるピッチャーになって欲しいですね」と語る。松尾監督は、木村に高校野球の枠を超えて、その先まで見据えた成長を願っている。そこには、細かいコントロールは後からでも習得できるので、まずは力強いストレートを中心に据え、そこから変化球やコントロールの精度を上げていけば良いという松尾監督の考えが見えてくる。 木村もまた自身の成長と課題についてこう語る。 「基礎をちゃんと固めて、フォームばらつきをなくしたいです。腕の振りがまだ甘かったり、細かいところを見ていけばたくさん課題があるので、それを一つずつ、つぶして。しっかりとのものにできるようにしたいです」と話す。松尾監督の長期プランの中で、木村も一つ一つ課題をクリアすることで成長していくつもりだ。