宇宙に還った安倍晴明…道長に遺した「光と闇」の警告について考察【光る君へ】
晴明が道長に遺した「闇」、候補は伊周と…?
すごく短絡的に考えると、藤原伊周と居貞親王(のちの三条天皇)が有力候補。久々に表舞台に返り咲いた伊周は、裳着の儀のときに周りの人を押しのけるのをなんとも思わなかったり、天皇に「信頼できるのは自分だけ」といけしゃあしゃあと言い放ったりと、あの不遇の時期になにも学ばなかったのか? という相変わらずの傲慢さ。道長の独裁を危ぶむ天皇の思惑もあって、しばらく道長を悩ませる存在になるのは確かだ。 そしてもう一人、闇を背負っていそうなのが居貞親王。もともと玉座への野心があからさまな人だったが、内裏の出火にかこつけて、一条天皇を引きずり下ろしにかかっていて、その爛々とした眼つきがなかなかヤバかった(木村達成の演技力よ!)。ちなみに「内裏で火事なんて不吉だから退位した方がいいよ」という言葉、のちのち大きなブーメランとなる予感がするので、よかったら心に留めておいてもらいたい。 さらに来週の予告では「屋敷を焼き払いたてまつります」と恐喝する物騒な僧侶が出てきたり、将来的には外国から襲撃を食らう「刀伊の来寇」もあったりして、実は道長の治世は深刻なトラブルが少なくなかった。 そういった闇の出来事が起こるたびに、道長のなかでは晴明の言葉がよみがえるのだろうが、多分道長にとって一番ダメージを食らうのは、まひろと決別するような目に遭うことだと思うのだが・・・晴明さん、夢枕とかそういう手段でいいから、今後も頭を抱えることだらけの道長くんのメンターになっていただけないものだろうか。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。9月1日放送の第33回「式部誕生」では、「藤式部」の名前をもらって、道長の娘・彰子(見上愛)の後宮で働きはじめたまひろの戸惑いの日々と、伊周が不穏な動きを見せるところを描いていく。 文/吉永美和子