岐阜「つちのこフェス」村の人口超す参加者 人気の理由は?
イベントに村人口を上回る2700人
岐阜「つちのこフェス」村の人口超す参加者 人気の理由は?
岐阜県加茂郡東白川村で大型連休中の3日、ヘビに似ているとされる未確認生物・つちのこを探すイベント「つちのこフェスタ2016」があった。同村の全人口2406人(2016年4月末現在)に対し、イベント全体の参加者は同村人口を上回る2700人。うち900人が村内の林や茶畑などでつちのこを探し回った。目撃談のみで捕獲されず、実在するのかよくわからないつちのこが、そこまで人気を集めるのはなぜか。その正体や背景に迫った。
東白川村は有数の目撃多発地帯とされている
同村関係者や村に残る目撃談をまとめると、つちのこは、体長30~80センチくらいで、色は黒褐色や焦げ茶色。ビール瓶くらいの胴から三角形の頭が出ているような体形で、転がったり、ジャンプしたりするという。 生息地は、北は秋田や岩手、南は九州や鹿児島まで全国各地で目撃されており、特に東白川村は、有数の目撃多発地帯とされている。 理由は、茶の産地で茶畑が広がっており、村の総面積のうち9割は山林という広大な自然環境が、つちのこの生育に適していると考えられている。
2016年の生け捕り賞金は127万円に
同村には戦前からの目撃談があり、直近では1987年あたりに「黒っぽいビール瓶のよう」「網模様が光った」などの目撃証言が残る。もともと「つちのこを見たと他人に話すと災いが起こる」と言い伝えられており、目撃談が広まることはなかった。しかし、同年あたりから日本各地でつちのこブームが起きると、村民から新旧の目撃談が出始めた。それをきっかけに89年から、年1回のつちのこ捜索イベントが始まった。 イベントの特徴は、つちのこを見つけた人に賞金が用意されていること。初回当時は生け捕りしたら100万円と設定。しかし、毎年1回開催しても捕獲されない。賞金も開催ごとに1万円ずつ加算されており、2016年の生け捕り賞金は127万円になった。生け捕り以外にも、死んだ状態なら50万円、写真撮影に成功したら10万円、脱皮後の皮を見つけたら5万円と、それぞれ賞金が決まっている。さらに、つちのこの形をした金色の板を見つけたら現金1万2700円、銀の板なら現金1万円など、現実的な魅力もある。 同村にはつちのこに関する資料や、目撃証言を元に作った動くつちのこ模型を展示する資料館・つちのこ館(やかた)もあり、1日平均10人、年間約5000人がつちのこの知識を深めにやってくる。 捕獲されない状況について、フェスタ運営組織の1つ、ふるさと企画の安江豊司さんは「自然環境の変化」と指摘する。