阪神・近本光司〝教育大臣〟になる 中学生が本物に触れる体験作る!
阪神・近本光司外野手(30)が21日、兵庫・芦屋市で、理事を務める一般社団法人「LINK UP」と芦屋市教育委員会、センス・トラスト株式会社の協定締結式に出席した。同市の中学生に本物に触れる体験の機会を作るべく、企画・運営などの役割を担っていく。現役のプロ野球選手が〝教育大臣〟を担う珍しい取り組みで、自身も学びを深める。 協力者が増え、描いたものがまたひとつ形になった。ジャケット姿で芦屋市の高島市長らと並んだ近本は、協定の締結でプロジェクトが前進したことを喜んだ。 「子供の時にしてもらった経験を、今の子供たちに返すためにどうしたらいいのか。いただいたものを次の世代につむいでいきたいと思っていた」 虎の〝教育大臣〟の誕生だ。芦屋市教育委員会などと結んだ今回の協定は、同市の中学生に本物に触れる経験や探求の機会を提供することで、思考力や表現力の向上につなげることが目的。自身が理事を務める一般社団法人「LINK UP」は、さまざまな分野の専門家を招き、継続的に関わることができるプランを立てるなど、企画・運営などの役割を担う。センス・トラスト株式会社からは活動費の支援などを受ける。近本はこれまでも甲子園に離島の子供を招待するなどしてきたが、グラウンド外の活動の幅はさらに広がる。 本物と触れ合ったことがその後の思考に影響を与える原体験があった。淡路島で過ごした小学生の頃、阪神やオリックスの野球教室に参加したことを今でもよく覚えている。「感性っていうのは体験でしか生まれてこないと思う。本物に触れる。面と向かって話をする。情報を得る。今の時代はネットですごい情報が出ていますけど、実際に目で見るっていうことがどれだけ刺激が強いか」。時を経て甲子園のグラウンドに立って夢を与える側になった。近本少年がプロ野球選手になるきっかけとなった体験を、次の世代に継承するためにひと肌脱ぐ。 先生役を担うだけでなく、生徒としても貪欲だ。「正直、自分が(話を)受けたいから形にしているんです」。本物を伝える講師にはスポーツ界に限らず、文化の担い手やビジネスマン、地域に根差した活動者などさまざまな分野の専門家を招く予定。その中で子供たちとともに学び、自身の成長にもつなげていく考えだ。 「現役中はすごく大変だとは思うんですけど、協力してくれる仲間もいるので、みんなで助け合いながら(やりたい)」