金融立国スイスの輝き鈍る、資産運用先2位の英国が肉薄-デロイト
(ブルームバーグ): 富裕層による資産運用先トップとしてのスイスの地位が脅かされている。コンサルティング会社デロイトが23日発表したリポートで指摘した。クレディ・スイスが昨年、事実上破綻したことが影響している。
リポートによれば、スイスは依然として資産運用先で世界一で、その運用総額は2兆2000億ドル(約335兆円)に上るが、ここ数年は流入額が低迷。
デロイトは「2023年にクレディ・スイスが破綻し、顧客がわずか数日の間に大量の資金を引き揚げたことで、スイスは大きな打撃を受けた」と分析。スイスは「依然として欧州と中東の顧客にとって選好される第一の運用先だが、これら地域からの資産流入はまだ完全に回復していない」と説明した。
スイスが伝統的に有している優位性、すなわち低税率や政治・経済の安定性、法的な確実性、中立性なども「最近数年でその重要性と強さを幾分失っている」とし、スイスは現在「富裕層を対象とした国際銀行業務の顧客にとって、以前ほど魅力的な国ではなくなっている」と論じた。
デロイトの集計によると、スイスに次ぐ世界の運用先2位は英国だが、その差はわずか80億ドル程度に縮小。20年時点ではスイスが約5000億ドル多かった。
原題:Credit Suisse Demise Cuts Swiss Wealth Lead, Deloitte Says (1) (抜粋)
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Noele Illien