20年前の「やかた賛歌」脚光再び 仙台・館小児童が11月2日に発表会で披露
仙台市泉区の館小(児童233人)で11月2日に開かれる学習発表会で、3年生の33人が館地区の四季の情景を歌う「やかた賛歌」を披露する。約20年前に作られた曲を地域の子どもたちが歌うのは初めて。地区に住む作詞者の鈴木昌弘さん(90)は「次代を担う子どもたちに歌い継いでほしいと願っていた。曲に光が当たりうれしい」と感激している。 曲が作られたのは2003年。「泉ビレジ館連合町内会」が結成10周年を記念して住民から歌詞を募集し、鈴木さんの作品が選ばれた。曲は当時、地区にある東北高の音楽教員だった作曲家の渋谷牧人さん(48)=東京=が、ゆったりとした曲調で作った。 曲は町内会行事などで流すほか、館コミュニティ・センターのウェブサイトで聞けるようにしており、町内会関係者に親しまれてきた。 ただ若い世代には知られておらず、鈴木さんは7月、館小の児童に歌に親しんでほしいと自費制作のCDやピアノ伴奏譜などを寄贈。総合的な学習で地域を学ぶ3年生が興味を示し、学習発表会で歌うことになった。 3年生は9月に鈴木さんらを学校に招き、詞に込めた思いなどを教わった。今月18日には練習を見学してもらい、はつらつとした歌声を披露。学習発表会への手作りの招待状を渡した。 3年生は「館のいいとこ広め隊」として活動し、「やかた賛歌」のチラシも作って家族ら地域に発信する。中井佑(たすく)さん(9)は「春の『霞(かす)む山並み』など、季節ごとに館の景色が入っていていい歌詞だと思った。当日は聴いている人が心地よくなるように歌いたい」と張り切る。 鈴木さんは児童たちに「まーじいちゃん」と呼ばれて親しまれ、学習発表会にも足を運ぶ予定という。「歌声が力強く、リズム感もあって良かった。自然が豊かな館地区の良さを感じて、古里の歌として歌い継いでいってほしい」と語った。 一 霞(かす)む山並み 館の春は 白いこぶしの 花が咲く 幼馴染(なじ)みの あの娘(こ)のように 清くやさしく 香る街 館よいとこ 住みよいところ 住みよいところ 二 宵の蜩(ひぐらし) 館の夏は 暮れて賑(にぎ)わう 艶(あで)やかに 浴衣模様も いろとりどりに 館太鼓に 夜も更ける 館よいとこ 住みよいところ 住みよいところ 三 綾(あや)か錦か 館の秋は 鐘(かね)(カリヨン)の音さえもみじ色 月を誘(いざな)う 芒(すすき)でさえも うすく紅さす 萱場(かやば)川 館よいとこ 住みよいところ 住みよいところ 四 こころ温(ぬく)もる 館の冬は 樅(もみ)に点(とも)す燈(ひ) 夢明かり 雪のスロープ 泉ケ岳も 夜空焦がして 燈を点す 館よいとこ 住みよいところ 住みよいところ
河北新報