「前はこんなことなかった」 井戸の水位低下や水枯れ、リニア工事影響か 長野県内でも相次ぐ JRは否定も「岐阜の問題、人ごとでは…」 不安募る住民
長野県の2村、岐阜の水位低下問題「人ごとではない」
リニア中央新幹線のトンネル掘削工事が進む岐阜県瑞浪市で多くの井戸やため池の水位が低下し、JR東海が工事を中断した問題で、同じくトンネル掘削工事が進む長野県下伊那郡大鹿村や同郡豊丘村の住民が「人ごとではない」と不安を募らせている。両村でも井戸の水位が低下したり水が枯れたりするケースが相次いでおり、生活や環境への影響を懸念する声が上がっている。 【地図】井戸の水位が低下したり水が枯れたりするケースが相次いでいる大鹿村と豊丘村
大鹿村の水位低下、トンネル掘削の影響原因
大鹿村の伊那山地トンネル青木川工区の青木川非常口(坑口)近くでは、2022年6~7月、JR東海の定期的な環境調査で2カ所の井戸の水位が2~5メートル低下していることが判明。同社は昨年6月、トンネル掘削の影響が原因と公表した。同社広報部は「水資源利用に影響を与える水位低下ではなかった」と説明する。
「リニア工事前はこんなことは…。家の水の今後が不安」
しかし、約5メートルの水位低下が明らかになった井戸から水を引く男性(85)によると、3、4年前から井戸の水位が不安定になり、最近は秋冬の渇水期には水量が著しく減るという。井戸水を生活用水として利用しており、「リニアの工事前はこんなことはなかった」と困惑。自宅の池や畑で使っている近くの沢の水も水量が少なくなったとする。男性は瑞浪市の問題を知り、「家の水が今後どうなるか本当に不安」と声を落とした。
長期的に減る水源の水量、心配する住民
同村釜沢地区では、南アルプストンネル掘削工事の影響で、6世帯が利用する村簡易水道の水源の水量減少が懸念されている。JR東海の環境影響評価(アセスメント)では、何も対策をしなければ水源近くの沢で水量が1~3割程度減少するとされ、同社は毎月水量を計測。地元の釜沢自治会に対し、これまでに工事の影響による水量の減少はないとしつつ、代替水源の確保計画を示しており、今月上旬の説明会で代替水源の位置を提示した。 だが、この水源もトンネル計画地から近く、影響を受ける可能性があるという。同自治会長の中村政子さん(66)は「別の水源の確保も自治会としては要望した」と明かす。毎月、同社から報告される周辺の沢や水源の水量などをチェックしているが、長期的には水源の水量は減っている。瑞浪市の問題を受け「生活に影響する水の問題は一番心配。周囲の沢の水量が減れば生態系にも影響が出る」と改めて懸念を深めている。