合理的な考え方が得意な「中高年男性」…定年後のキャリアを考えるのに必要な「もう1つの視点」【キャリアコンサルタントが解説】
総務省「労働力調査」によれば、1976年には約3割であった45歳以上の就労者の比率が、2021年には約6割弱まで上昇しています。中高年世代は、総合職等で活躍をしている女性が少なく、管理職の多くは男性です。終身雇用は徐々に崩壊し、個人のより高い専門性が求められる一方、平均寿命は延びています。そのようななか、今後のキャリアについて悩みを抱える中高年男性は多いでしょう。本記事では、中高年男性の定年後のキャリアについて、株式会社日本総合研究所創発戦略センター・スペシャリストの小島明子氏が解説します。※本記事は、「中高年男性の働き方の未来」(金融財政事情研究会・小島明子著)の内容を一部改編・追加の上、掲載しております。 【肩書別】大卒サラリーマンの給与推移…役職なし/係長/課長/部長<令和4年賃金構造基本統計調査>
キャリアを考えるということ
私たちは「キャリア」という言葉を日ごろから用いることが多いですが、その捉え方は人によってさまざまです。働いている女性のなかには、キャリア=管理職への登用、出世・昇進と捉え、キャリアという言葉に対して抵抗感を持つ人もいます。しかし実際、キャリアという言葉は、職業や進路にとどまらず、もっと幅広い意味合いを持っているのです。 木村周氏※1は、著書のなかでドナルド・E・スーパー(アメリカの経営学者、キャリア研究者、心理学者。コロンビア大学の名誉教授。1950年代にキャリア構築や職業選択を定義付けした独自の理論「キャリア発達理論」を打ち立てた)のキャリアの定義を踏まえ、キャリアについて、 (1)人生を構成する一連の出来事 (2)自己発達の全体の中で、労働への個人の関与として表現される職業と、人生の他の役割の連鎖 (3)青年期から引退期にいたる報酬、無報酬の一連の地位 (4)(3)には学生、雇用者、年金生活者などの役割や、副業、家族、市民の役割も含まれる と説明しています。 キャリアを考えることは、まさに人生について考えることであり、特に変化の激しい現代社会においては、長期的視野に基づき人生を考えることが求められているといえます。