OpenAIの最新動画生成AI・Soraは「脅威」なのか?その仕組みと、できること・できないこと
OpenAIの最高経営責任者(CEO)サム・アルトマンは2024年2月15日、最新の動画生成AI「Sora」を発表しました。 OpenAIの最新動画生成AI・Soraは「脅威」なのか?その仕組みと、できること・できないこと Soraは、それに先立つDALL-EやChatGPTと同じく、ユーザーの自然言語によるコマンドを受けて、リクエストされていることを理解し、素晴らしい生成をすることができます。 ただしSoraの場合は、単にテキストベースの反応を返したり、画像を生成したりするのでなく、リアルな動画を1本丸ごと生成するのです。 その出来栄えは、私がこれまで見てきたどのAIプログラムよりも優れています。ただし、これは単純な褒め言葉ではありません。
これまでのAI動画とは一線を画すクオリティ
Soraのリリース発表ページには、さまざまな動画が掲載されており、その実力が誇示されています。そのクオリティーは、悪い意味で度肝を抜かれるものでした。 「溶ける赤いキャンドルの近くで座り込んだ、もこもこした小さいモンスター」や、「ディスコダンスを踊るカンガルーの漫画キャラ」など、いきいきとしたコンテンツが生成されています。 そのクオリティーは、ピクサーやドリームワークスには及ばないものの、おおむねプロフェッショナルと言えるものです(なかには、明らかに飛び抜けた出来栄えのものもあります)。 人間が制作に関わっていないことを、一見しただけで見破れる人は少ないのではないでしょうか。 Soraが持つ動画制作のポテンシャルも十分に気がかりですが、本当に恐ろしいのは、「生成される動画のリアルさ」です。 Soraの紹介ページには、イタリア・マルフィ海岸に建つ由緒ある教会の「ドローン映像」や、旧正月を祝う人々のパレード、雪景色の東京の街並みを映したトラッキングショットといった動画が紹介されています。 これらはどれも、一度見ただけでは、誰の目にも本物にしか見えないでしょう。私などは、AIが生成したとわかっていても、いまだにそう思えないものもあるほどです。 たとえ、作成されたアセットが歪んだりずれたりなど、AIによる不具合があったとしても、動画圧縮のせいに見えます。 Soraの公式ページでは、雪の中で遊ぶ仔犬たちの動画が紹介されていますが、これが本物でないことを知ったうえで見ると、ちょっとした不具合が何箇所かあるのに気がつきます。 ですが、動画の物理的特性とクオリティーによって、それが目の錯覚に思えてしまうのです。 この仔犬たちが本物じゃないなんて、とても信じられません。どれだけ雪遊びを楽しんでいるのかが、手に取るようにわかります。 私たちはすでに、『マトリックス』の世界の住人になりつつあるのでしょうか?