「若い人には僕らにないセンスがある」杉山清貴、“往年の名曲”に頼らない新曲のサブスク人気
昨年の40周年ツアー『Sugiyama Kiyotaka Band Tour 2023』は、過去のヒット曲に頼らないセットリストだったが、そんな中でもこの「さよならのオーシャン」だけは、ファンサービスとして歌っていた。 「この歌はかなりの頻度でセットリストに入れていて、特に、久しぶりにツアーで回る場所でのコンサートでは、必ず入れるほどですね」 実は退屈に感じてあえて歌うのを避けていた時期もあったと明かす。しかし、Bメロ♪ダッシュボードにあの日、綴った文字も~の部分で、いったんクールダウンするからこそ、サビの♪さよなら…~で、一気に盛り上がれるという、メリハリのある構成もドラマティックで、納得の1位と言えるだろう。
“夏”イメージを覆した一曲
Spotify第2位は、1988年の6thシングル「僕の腕の中で」。ソロになってからは大半の楽曲を自ら作曲していた杉山だが、本作ではオメガトライブ時代の林哲司に作曲を依頼している。その理由を尋ねてみると、 「オメガでのラストシングル『ガラスのPALM TREE』は、ソロになってもずっと、ダイドードリンコさんのタイアップのお話をいただいて、毎回、それに合わせて曲を作るというパターンが出来ていたんですよ。その流れがあった中で、突然、JALのCMというお話をいただいて、プレッシャーが半端なかった。それで、“よし、林哲司さんに頼もう~っと!”って決めたんですよ(笑)。林さんも、僕らのオメガトライブで出し切ったから、一緒に卒業した感じだったんですが、ここは一つお助け願いますって。しかも、今回は、通常のキャンペーンソングじゃなく、企業イメージをアピールするCMだったので、ますます外せない。だったら、これはもう秋元(康)さんしかない! と作詞をお願いしました。そして、オメガとは全く異なる派手さが欲しかったので、アレンジはハードなサウンドが得意な佐藤準さんにお願いしました」 ちなみに、当時メガヒットを連発していた光GENJIも「パラダイス銀河」や「ガラスの十代」など大半の編曲を佐藤準が手がけていた。この曲には、多くのリスナーがバブルならではの雰囲気を感じるかもしれない。 そしてSpotify第3位は、1986年の2ndシングル「最後のHoly Night」。煌びやかなアレンジにクリスマス・イブに最愛の人と最後の一夜を過ごすという切ない歌詞の組み合わせの本作は、各種ランキングで上位となり、レコード売上でも杉山のソロ作品で最高記録となった。ちなみに、作詞を手がけた売野雅勇によると、本作を書き上げるにあたって、藤田浩一プロデューサーと2時間かけて構想を練ったという。 「当時、売野さんがカルロスのオメガの方を書いていて、その方向性が分かってきたので、藤田さんから売野さんに頼んでみたらという提案があった気がします。でも、この曲自体はストックとして数年前に事務所の方に渡していたんですよ。冬を狙った作品じゃなかったのに、突然、クリスマスに向けて出したいと言われて驚きました。自分としてはずっと夏のアーティストのイメージでも良かったんですが、ここで、冬のイメージもついたんでしょうね」