「若い人には僕らにないセンスがある」杉山清貴、“往年の名曲”に頼らない新曲のサブスク人気
『記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス』 杉山清貴(1)
この連載では、昭和から平成にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。 【写真】4位以下には“意外”な楽曲が…「杉山清貴」Spotify再生回数ランキングを見る 前回までは、杉山清貴にオメガトライブ時代のヒット曲について語ってもらった。今回から2回にわたっては、ソロとなった1986年以降のヒット曲を見ていくことにする。ここでのランキングは、1983年から1985年の杉山清貴&オメガトライブ名義の楽曲は対象外となっていることにご注意願いたい。
杉山清貴ソロ部門Spotify第1位は、ソロ・デビュー曲の「さよならのオーシャン」。作詞を手がけた大津あきらが、それまでの提供作である中村雅俊「心の色」や渡辺徹「約束」などのような、実直な人間を描いた作品だ。オメガトライブ時代とはまた異なった男性像が思い浮かぶ。 「ソロのランキングの方は(意外な人気曲が多いオメガトライブと違って)分かりやすいですね! 『さよならのオーシャン』は、オメガ時代のプロデューサーとは、絡んでいないんですよ。向うはカルロス(・トシキ)を迎えて動いていた分、僕は自由だったんですね。大津さんにお願いしたのは、ディレクターからの提案で一度話をしてみて決めました」。 杉山がソロ・デビューしたのは1986年5月28日。その月の初め(5月1日)に、オメガトライブは新ボーカルにカルロス・トシキを迎え「1986オメガトライブ」としてシングル「君は1000%」で再スタートを切っている。ランキング番組の『ザ・ベストテン』で、杉山と1986オメガトライブが同時ランクインした際、杉山が 「一緒に出られて良かったね」とかつての仲間に笑って話しかけていた。だが、実は相当にプレッシャーがあったと言う。 「まだ曲ができていない時に、オメガのプロデューサーである藤田(浩一)さんから、“カルロスの曲、できたぞ”って、『君は1000%』を受話器越しに聞かされたんですよ。だからソロでもヒットして正直ホッとしました(笑)」