“バズる”地方創生請負人が語る、これからの地方。発展のキーワードは「海外進出」と「女性の雇用創出」地域活性化の弊害は「お金を吸い上げていく東京の大企業」
歴史的な円安水準に突入し、「日本オワコン説」があちこちで囁かれるようになった昨今。とくに人口減が進む地方は「4割の自治体が2050年までに消滅の可能性がある」との推計も出ており、先行きを懸念する声も多い。そんな逆境の中でも、「地方から日本を元気にしよう」と取り組む2人の精鋭がいる。“日本一バズる公務員”として、高知県須崎市のふるさと納税寄付額を1000倍に増やした守時健(もりとき・たけし)氏と、テレワークで地方創生に取り組むイマクリエ代表の鈴木信吾氏だ。“地方創生請負人”として引っ張りだこの2人が語る、「地方の現状と希望」とは? パリで大人気の日本食のコンセプトストア「iRASSHAi(イラッシャイ)」
脱・東京一極集中としての「ふるさと納税」
――地方創生の現場に立つおふたりですが、今感じている問題点からお聞かせください。 守時健氏(以下、守時) 今、というか、これまで長らく抱えてきた構造的な問題に、東京一極集中があります。東京がなぜすごいかといえば、地方で育った優秀な人材がごそっと流れつくからなんですね。 逆に我々地方の目線に立つと、教育コストを負担して育て上げた人材が結局、東京に出て行って東京に納税するわけです。18歳まで育てるのに1人当たり1700万円かかると言われてて、高知県の場合、それが年間2000人とか。べらぼうな金額なんです。 優秀な若者を供給するには、地方がまず豊かにならないと、今後の日本は立ち行かなくなるんじゃないかなっていうのは、すごく思うところです。 ――この育成コストの是正策のひとつがふるさと納税でした。首都圏に納税するようになった地方出身者でも、納める税金の一部は任意の自治体に納税すると得になるよう設計し、税収を地方に還元する施策として定着しました。 守時 そうです。ふるさと納税というと、「返礼品の競争激化がけしからん」と言う声を聞くことも多いと思うんですが、これ、まったくそんなことはないと僕は思っていて。自治体は魅力的な返礼品を用意して、どんどん競争したらいい。総務省のHPにもどんどん競争しなさいって書いてあります。 どんどん競争して、ふるさと納税で競争力がついた商品が有名になって、いずれ海外展開できればいいなと思って、今、試行錯誤しているところです。 鈴木信吾氏(以下、鈴木) 地方の名産品が世界でヒットする、というのは、わりと現実的なことだと私は思ってます。というのも、弊社(イマクリエ)はクライアントから受託した業務を、完全在宅で働く5万人のテレワーカーのリソースを活用して行なうアウトソーシングが中核なのですが、登録しているテレワーカーの方は海外在住が多いんです。 この面々が現地のお店の棚を抑えて、日本の名産品を販売するっていうチャンネルを作ろうと思ってまして。 守時 待ってください! 御社はテレワーカーが5万人もいるんですか? 鈴木 はい。テレワークなので、どこでも仕事ができるんですね。弊社に登録しているスタッフは世界40ヶ国に散っています。私にとっての地方創生の先々というのは、この40ヶ国に日本の商品が届くとか、そこで売れるようになること。そうすると日本はすごく豊かになると思っていて。 守時 なります、それは確実になりますね。