10月10日にテスラが「サイバーキャブ」公開、その驚くべき内容の今わかることすべて
サイバーキャブのテスト車両と思しき謎のクルマがSNSに
9月上旬にはワーナースタジオ敷地内の駐車場で開発車両が撮影され、SNSにアップされた。元のカタチがわからないほどに偽装されているものの、小さな2ドアボディ、リアタイヤがフロントタイヤよりも大きいのが確認可能できる。 かなり前に公表されている初期スケッチ(「イーロン・マスク」:ウォルター・アイザックソン著に掲載)を踏襲しており、おそらく全長は4m弱ほど。その割にホイールベースは長く、居住性はなかなか良さそうだ。 また、ダミーだった可能性はあるものの、ヘッドランプは新型モデル3風のデザイン処理で、リアコンビライトはサイバートラック風に左右が赤い直線的なラインでつながっていたという。
ワイヤレス充電機能の実装にも期待が高まる
気になるのが、最近米国で相次いで公開された非接触充電(ワイヤレス充電)に関する特許である。充電マットの上に停止すると自動的に充電が始まり満充電になるとストップするというもの。すでにサイバートラックにはこの技術に将来的に対応可能なヘッダーが内蔵されており、アップグレードで対応できるようになっている。 サイバーキャブでは、当初からこの機能を実装してくる可能性は非常に高い。車両基地に充電マットを敷設することで、室内クリーニング作業と並行して充電管理が行えるようになる。配車サービス事業にかかる人的コストが大幅に下がるだろう。
運行サービスが始まるまで少々時間がかかりそう
サイバーキャブのサービスインに関してテスラはまだコメントしていない。イーロン・マスクCEOは、「技術の進歩と規制当局の承認次第だ」と述べるにとどまっている。 アメリカは州法が優先し、米全州に適用される連邦法では、まだ自動運転に関する規制は明確ではない。したがって、当初は最大のライバルとなるWaymo同様、カリフォルニア州内およびその周辺州の特定エリアに限定されるとみられる。10月10日には、そのあたりの進捗や見込みについてもなんらかの説明があるだろう。
進化するFSDと待望のモデルYのお披露目にも期待
10月10日に公表される「他の何か“a couple of other things”」についてもまとめておく。まずはサイバーキャブに採用されると思われる、進化したFSD(フルセルフドライビング)の発表だ。現在は「FSDバージョン12.5」が配布されているが、これはあくまでレベル2であり市街地ADASと呼ばれる範囲だ。 一方、サイバーキャブはレベル4の遠隔監視による無人運転なので、より進化したFSDの搭載が必須だ。今回のイベントでは、スタジオの構内で現在開発中のレベル4対応FSDを搭載したサイバーキャブのデモランが披露されるだろう。 さらにこのFSDを搭載したテスラ車(既存モデルにレベル4対応FSDを搭載)による一般公道での体験試乗も行われる見込みだ。サポートドライバーの同乗を条件とした公道使用許可も取得しているらしい。 そして、その目的地はワーナースタジオの近所に建設中の「テスラダイナー(Tesla Diner)」になるかもしれない。テスラダイナーは、最新のV4スーパーチャージャー(急速充電器)、24時間営業のレストラン、さらにドライブインシアターが併設されたユニークな複合施設だ。 現在、建物の外装はほぼ出来上がっており、あとは内装や什器、インテリアや巨大なデジタルスクリーンの設置を待っている状態である。イベント開催日には間に合わないかもしれないが、近い将来にはオプティマスがハンバーガーを焼いている姿が見られるかもしれない。 そしてもうひとつのサプライズとして期待されているのが、2025年第1四半期の発表が予想される新型モデルY(いわゆるジュニパー:Project Juniper)の展示である。フロントマスクはバンパー形状が変更されてヘッドランプもモデル3風のシャープなデザインに、またリアエンドも刷新され左右のコンビランプは赤のガーニッシュでつながりワイド感が強調される。また、インテリアも先にリフレッシュされたモデル3に倣った変更が行われるようだ。量産体制が整った「4680」バッテリーの搭載も間違いない。 当初は2024年10月から量産開始と言われていたモデルYジュニパーだが、マスクCEOは「2024年中の発売はない」と断言しているので、今回は実車展示のみで詳細には言及されないだろう。
テスラにとってもっとも重要な瞬間になる
テスラのロボタクシープロジェクトが、同社の長期的目標の第一歩であることは広く認識されている。そして、完全自動運転レベル5を早期に実現する一方、テスラ車オーナーは使用していない時にはロボタクシーとして提供してお金を稼げる新たなビジネスモデルを創造しようとしている。 それが現実的な目標なのか、いつものような大言壮語なのか現時点で判断するのは難しいが、少なくともマスクCEOは大幅に遅れながらもすべて実現に漕ぎつけてきた実績はある。果たして、10月10日にはどんなサプライズで世間を騒がせるのか。9年前に大衆車セダンセグメントに初のEV、モデル3を投入した時を超えるインパクトはありそうだ。