息子が大学には行かず、「高卒で公務員になりたい」と言っています。大学を出たほうが生涯年収が高くなると思うのですが、実際どれだけ違うのでしょうか?
子どもから「高校卒業後は公務員になりたい」と言われると、安定した職業のため親としては安心する人もいるでしょう。しかし収入が安定しているとされる公務員とはいえ、大卒と高卒とでは、年収の差がどれくらいあるのかは気になるところかもしれません。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? 本記事では、大卒と高卒で初任給や勤続年数による月額給与を試算し、生涯年収がどれくらい違うのか解説します。
大卒と高卒の年収の違い
高校、大学卒業後の1年目から公務員になるとして、初任給や月給がいくらになるのか、総務省が公表している「令和4年 地方公務員給与の実態」を基に解説します。なお、どの項目も、都道府県の一般行政職でシミュレーションします。 ■初任給 初任給の全国平均は以下のとおりです。 大卒:18万7686円 高卒:15万4142円 初任給は、大卒の方が3万円以上高いことがわかります。では、勤続年数が長くなるとどのように月収が変化していくのかみていきましょう。
勤続年数別の平均月額給与
大卒と高卒ではどのように月給が推移していくのか、平均給料月額を図表1にまとめました。 図表1
総務省 令和4年 地方公務員給与の実態を基に筆者作成 図表1のように、大卒の方が4~5万円ほど高い水準で推移していますが、30年近く勤めると徐々にその差が3万円弱に縮まっています。大卒の方が常に月給は高い傾向にありますが、通算して働く期間は高卒で約41年、大卒は約37年と、高卒の方が4年長いです。総額にはどう影響するのでしょうか。 図表1をもとに、総額を計算すると以下の金額になります。 大卒:1億4691万2712円 高卒:1億4902万7472円 平均給料月給だけをみると総額は高卒が逆転して、211万4760円上回ることがわかります。 ■ボーナス 次に、ボーナスの総額を計算します。国家公務員のボーナスの2023年の実績は約4.5ヶ月分でした。これをもとに図表1の月給を掛けて計算すると以下のようになります。 大卒:5509万2268円 高卒:5588万5304円 ボーナスにおいても、高卒の方が79万3036円高いことがわかります。ではボーナスを踏まえた生涯年収はいくらになるのかみてみましょう。 ■生涯年収 これまで計算した月給総額にボーナス総額を加え、高卒と大卒の生涯年収を計算すると以下のようになります。 大卒:(月給総額)1億4691万2712円+(ボーナス総額)5509万2268円=2億200万4980円 高卒:(月給総額)1億4902万7472円 +(ボーナス総額)5588万5304円 =2億491万2776円 公務員の生涯年収は高卒と大卒を比べると、高卒の方が290万7796円高いことがわかりました。時間外勤務や各種手当等は考慮していないため、ベースとなる月給とボーナスの平均額にはなりますが、高卒の方が高くなるというのは意外に感じた人もいるのではないでしょうか。 入職したての頃は大卒との月給差が目立ちますが、徐々に縮まります。さらに月給が上がってからの期間が長いことも生涯年収を引き上げている要因といえるでしょう。