「その日が来た」ICC検察官、ネタニヤフ首相らの逮捕状請求 発行されれば日本含む124カ国に逮捕義務
国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は20日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、戦争犯罪と人道に対する罪の疑いでイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相のほか、イスラム組織ハマス幹部3人の逮捕状を請求したと発表した。 カーン主任検察官は、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑について全員が「刑事責任を負う」と信じるに足る十分な根拠が得られたと述べた。 ハマス側は、ガザ地区トップのシンワル指導者、軍事部門トップのマスリ指導者、ハニヤ政治局長の3人に対するもの。 ICC カーン主任検察官 「法に従わない者たちが、私たちが確かな証拠に基づいて行動を起こしたときに、後から文句を言ってはならない。その日が来たのだ。今日私たちは国際法と武力紛争法がすべての人に適用されることを、可能な限り明確な形で強調する。いかなる兵士も、いかなる指揮官も、いかなる文民指導者も、誰一人として処罰を免れることはできない」 イスラエル戦時内閣の1人、ガンツ前国防相は、ICC検察官の決定を受け入れることは「すべての国にとって国民を防衛する能力を阻害することになり、歴史的な犯罪となる」と指摘した。 イスラエル、ハマス双方の指導者らは、戦争犯罪を犯しているとの指摘をこれまで否定してきた。 だがカーン主任検察官は証拠から、イスラエルが食料や水、医薬品、エネルギーなど「人間の生存に不可欠な物資」の供給を制限し、組織的に民間人から奪っていたことがわかったと述べた。そのうえでネタニヤフ首相らは、イスラエルが故意に多大な苦しみを引き起こし、戦争犯罪として殺人を犯した責任を負うと指摘。またハマス指導者らは、集団殺戮や殺人、人質の拉致、拷問、レイプおよびその他の性的暴力行為といった組織による犯罪行為の責任が問われている。 今後、逮捕状が発行されるかどうかは、ICC検察局が提出した証拠に基づき、予審裁判部が判断する。発行されれば日本を含むICC加盟124カ国は、指名手配者が領土内にいる場合、直ちに逮捕する義務を負う。 しかしICC自体は逮捕状を執行する手段を持たない。米国とイスラエルはいずれもICC非加盟国で、ガザの戦闘に関するICCの捜査に反対している。