エラリアン氏、米CPIがどうであれ「7月利下げのドアは閉まった」
(ブルームバーグ): 英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のモハメド・エラリアン氏は、予想以上に強い5月の米雇用統計で7月利下げへの道は閉ざされたと述べた。
「労働力需要と賃金の面で本当に強い統計だ」とブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるエラリアン氏は7日、ブルームバーグテレビジョンで話した。
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「来週の消費者物価指数(CPI)がどうであれ、7月利下げのドアは閉ざされた」とエラリアン氏。「このデータでは、7月の利下げはありえないし、利下げを示唆することもできない」と続けた。
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米連邦公開市場委員会(FOMC)は来週12日、5月のCPIが発表された数時間後に政策会合の結果を明らかにする。CPIは雇用統計とともに、FOMCが2025年末までの経済・金利予測をまとめる上で重要な参考データとなる。
3月の金利予測分布図(ドットプロット)では、年内3回の利下げが示唆されていた。この予測がどこまで巻き戻されるのか、現在2.6%とされている中長期の金利見通しがどこまで引き上げられるのかに、トレーダーらの関心が集まる。
来週のFOMCが明らかにするドットプロットでは、今年1度の利下げが示唆されるとエラリアン氏は見込んでいる。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は「選択の余地を最大限残す」とエラリアン氏は予想。「データ次第のマントラを維持するだろう」と述べた。
債券市場は5月下旬から大幅に上昇している。米経済統計の多くが景気の冷え込みを示し、そのトレンドが金融緩和への道を整えると受け止められたからだ。今週はカナダ銀行(中央銀行)と欧州中央銀行(ECB)がそれぞれ政策金利を0.25ポイント引き下げた。利下げではスウェーデンとスイスの中央銀行が先行している。
エラリアン氏は利下げを巡る議論は今後も続くと見ている。「米経済は力を弱めつつあるからだ」と指摘。新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)だったころの余剰資金や、財政投入といった「スペアタイヤはない」とエラリアン氏。FOMCが「判断を誤り、景気を冷やし過ぎた場合、その過ちの修正は難しい」と述べた。