OECD世界経済見通し、安定的な成長予想 保護主義リスク警戒
Leigh Thomas [パリ 4日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は4日に公表した経済予測で、保護主義の再燃で貿易の回復が妨げられなければ、世界経済は今後2年間安定的に成長するとの見通しを示した。 2024年の世界経済の成長率は3.2%、25年と26年は3.3%と予想した。インフレ率の低下、雇用の拡大、金利の引き下げにより、一部の国の財政引き締めが相殺されるとみている。 9月の予想では今年と来年の成長率を3.2%としていた。26年の見通しは今回初めて公表された。 OECDによると、昨年落ち込んだ世界貿易は、輸入制限措置が増えているにもかかわらず回復しており、来年は数量ベースで3.6%増加する見込み。 OECDは「貿易摩擦と保護主義の高まりでサプライチェーンが混乱し、消費者物価を押し上げ、成長に悪影響を及ぼす恐れがある」と警告した。 トランプ次期米大統領は主要貿易相手国に対し関税を引き上げる構えを見せており、貿易の見通しが不透明になっている。 OECDは米経済について、雇用市場の冷え込みにより消費が鈍化するとの見方を示し、今年の成長率は2.8%となり、25年は2.4%、26年は2.1%にさらに鈍化すると予測した。 中国も金融・財政政策の緩和にもかかわらず、24年の4.9%から25年は4.7%、26年は4.4%に減速する見込み。備えのための貯蓄が高水準で消費者支出が低迷していると指摘した。 一方、ユーロ圏は欧州中央銀行(ECB)の金融緩和が投資を促し、労働市場の引き締まりが個人消費を支えると予想。成長率は今年の0.8%から25年は1.3%、26年は1.5%に加速するとした。 英国の成長率は今年は0.9%、25年は1.7%と予測した。実質所得の増加と政府支出の増加が増税の影響を相殺すると見込む。26年は1.3%に鈍化する見通し。 日本の成長率は今年はマイナス0.3%となるが、景気刺激策を追い風に25年は1.5%のプラス成長を回復し、26年は0.6%へ鈍化すると見込んだ。 OECDは、インフレ緩和に合わせて日本を除く大半の主要中銀は慎重に金融緩和を続けるべきとの見解を示した。 ほとんどの国は政府の財政が圧迫されているため、債務負担を安定させるために断固たる行動を取る必要があると訴えた。