「メモ魔」の広島・矢野がゴールデングラブ初受賞 好守で一気に飛躍
プロ野球で守備のベストナインを選ぶ三井ゴールデングラブ賞が12日、発表された。セ・リーグの遊撃手では、広島の矢野雅哉が初めて選ばれた。今季一気に飛躍した、プロ4年目の25歳だ。 【写真】試合前に守備練習をする広島・矢野雅哉。心に刻む名手からのアドバイスとは 「レギュラーを取れたら一番いいけれど、今は与えられた役割を必死にこなして食らいついていく」。ゴールデングラブ賞を初受賞した広島の遊撃手、矢野が4月上旬に口にしていた言葉だ。 昨季までは守備固めや代走が主だった。4年目の今季も控えからのスタート。外国人野手2人がそろって開幕直後に故障したことで出場機会が増え、そこで好守を連発し、一気に飛躍した。 守備範囲の広さと強肩。そして、貪欲(どんよく)に学ぶ姿勢が成長を促した。学生時代から野球日誌を書き続けていて、書くことが習慣になっている「メモ魔」だ。「その日の感想。自分自身の反省点、学んだこと。内容は日によって違う。頭の中で忘れてはいけないことを今もメモ帳に書いている」 三好内野守備・走塁コーチは、「あのときの動きはどう見えたかなど、よく聞いてくる。勉強熱心。うまくなりたいんだと意欲的」と評する。打者の打球傾向、投手のその日の調子を頭に入れて、スッと守備位置を変える。「打ってから動いていたら捕れない球にも届く。守備は元々良かったが、予測する確実性も上がった」と三好コーチ。 三遊間の深い位置から矢のような送球をみせたり、ゴロを素手で捕って一塁で間一髪のアウトにしたり。「迷わず、全力で守る中でいいプレーが出たので良かった」。1シーズンで名手の仲間入りを果たした。(上山浩也)
朝日新聞社