アイヌ工芸技術伝承拠点完成 釧路市が整備「ハリキキ」担い手育成
アイヌ工芸技術の伝承拠点「アイヌクラフトセンター」(愛称ハリキキ、北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4)が完成し、10日から研修事業がスタートする。阿寒湖アイヌコタンの次世代の担い手育成の場として期待される。 ハリキキは、アイヌ語で「よく働く、努力する」の意味。釧路市が2022年から、釧路開発建設部の旧阿寒湖温泉除雪ステーションを改装して整備を進めてきた。 鉄筋コンクリート造2階建て、延床面積628平方㍍。織物や刺しゅう、木彫、ムックリを制作する作業部屋があり、一部はガラス張りで研修の様子を見学することができる。 建物には温泉が引かれており、アットゥシ(織物)の原料オヒョウの内皮を漬けて柔らかくする工程にも利用される。大型の木彫制作は屋外で行われる。建物にはエレベーターも設置している。 研修を受講するのは市内1人、道内2人、道外1人の合計4人。期間は2年でアイヌ工芸やアイヌ文化全般、起業に向けた経営、デザインなどの講座やフィールドワーク、工芸品制作の実習をアイヌコタンの工芸作家が講師となり行う。彫刻刀などの使い方も基礎から教える。 阿寒のアイヌ工芸の担い手は高齢化が進み、ムックリなども将来的には制作できる人がいなくなるのではと心配されている。 市阿寒湖アイヌ施策推進室の堀江勇樹総括係長は「ゆくゆくはアイヌコタンに暮らしてもらい、文化を継承する人材を育てたい」と話している。研修は、月火を除き午前9時~午後4時まで見学が可能。
釧路新聞