【鳥取県日野町】オシドリがつないだ絆 オシドリ天使
30年続くオシドリの保護活動 続ける活力は東京の子どもたちとの出会い
日野町に毎年飛来し 冬の訪れを告げる「オシドリ」。 町内でオシドリの保護活動を行うボランティアグループ「オシドリグループ」は今年で結成30年を迎えます。活動の原点にはオシドリがつないだ大切な絆がありました。 日野川を悠々と泳ぐオシドリ。鳥取県日野町には、毎年多い時で800羽のオシドリが越冬のために飛来してきます。 日野町根雨のオシドリ観察小屋では鳥取県の鳥にも指定されているオシドリを間近で見ることができ人気の観光スポットになっています。 訪れた人「こんなに近くで初めて見た」 この観察小屋で観光客にオシドリについての説明をしているのは町内のボランティアグループ「オシドリグループ」の森田順子さんです。 オシドリグループは、日野川に飛来するオシドリの餌となるどんぐりを集めるほか川の清掃などの環境保護を目的に1994年に結成しました。 もともと日野川に飛来していたオシドリですが、エサとなるどんぐりが少なかったことから30年前は1年に30羽ほどしか確認できませんでした。しかし、オシドリグループの活動の成果もあり当時30羽ほどだったオシドリはこの30年で800羽ほどに増加しました。 森田さん「オシドリに関わると幸せなことばかり。だから続けてこられたオシドリを知らない人に教えてあげたり一緒に感動することは素晴らしい」 またグループは、日野町出身で東京都で教師を務めていた佐々木幹夫さんが日野町と遠く離れた東京をつなぎ東京都杉並区の小学生がオシドリ観察に訪れる交流事業を1996年から新型コロナウイルス拡大以前まで毎年実施。 町民たちは子供たちのことを「オシドリ天使」と呼んで歓迎しました。 30年が経った今も週に4日ほど観察小屋で観光客のガイドを務める森田さん。ある「オシドリ天使」との出会いが、活動を続ける力になっていると話します。 森田さん「これです。この木です。私たちの活動の原点だね。」 森田さんの自宅の庭に植えられている3mほどのクヌギの木。 森田さん「ここから持って帰ったどんぐりを持って帰って発芽させてまた日野町に持ってきてくれた。」 2016年の冬にオシドリ天使として日野町に訪れた井上 愛理(まなり)さん。井上さんは、日野町から持って帰ったどんぐりを育てて発芽させ、その年の夏に20cmほどの苗にして森田さんにプレゼントしてくれたといいます。現在、東京の大学に通う井上さんに当時の話を聞くことができました。 井上さん「初めて来たとき、たくさんの人が迎えてくれた。オシドリを見るのも初めてだったし、とにかく楽しかった。苗をあげた時は何か日野町にお返ししたいという気持ちだった。」 当時の日記や写真を今も大事に残しているという、井上さん。大きく成長したどんぐりの木を見てもらいました。 井上さん「大きくなった姿は初めて見た。こんなにずっと育ててくれるとは思わなかった。すごくうれしい。また日野町を訪れてみんなと会いたいし、大きくなった苗を植えかえたりしたい。」 オシドリグループの立ち上げから30年。子どもたちとの出会いが、今も活動を続ける理由となっています。 森田さん「ゆっくりでも、長くこの活動を続けることでオシドリ天使たちもオシドリのことを思い出してくれるきっかけになると思う。またみんなと会えたらどんなにうれしいかと思う。」 森田さんは今もどんぐりの木を通して子どもたちとオシドリの姿を見守り続けます。 ###