2人の子持ちで「年収840万円」です。部長になり“昇給”するのですが、児童手当など減額になるのでしょうか? 税金面の対策はありますか?
努力が認められて昇進するというのは誰でもうれしいものではないでしょうか。しかし、昇進し昇給するにあたってうれしいことばかりではないのはご存じでしょうか? 今回は、年収840万円から昇給した場合、税金面や手当にどのような不都合があるのか紹介します。また、税金対策も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
年収840万円から900万円、1100万円と昇給すると所得税率が上がる
年収から給与所得控除や所得控除を差し引いた課税される所得金額が、330万円超えから695万円以内の所得税率は20%、695万円超えから900万円以内の所得税率は23%、900万円を超えると所得税率は33%と一気に10%も上がります。 年収840万円の場合、課税所得金額は約650万円ですから所得税率は20%。これが年収890万円になると課税所得金額は695万円で所得税率23%、年収が約1100万円になると課税所得金額が900万円超で所得税率33%となります。その分控除額も上がり、課税所得が900万円を超える場合は153万6000円になります。 しかし、900万円の10%は90万円で、月収を場合によっては上回る金額です。現在の年収が840万円から900万円に、さらに1100万円にとなる場合は、手取りが減ってしまうケースもあるでしょう。
年収が高くなると受けられない手当
ここでは、年収が900万円に突入すると受けられない手当について紹介します。特に子どもがいる場合、押さえておきたいポイントを紹介します。 ■年収960万円を超えると児童手当が減額になる 現行の児童手当は、子ども1人につき最大1万5000円の児童手当を受給できます。 しかし、世帯年収が960万円以上(世帯人数の内訳による)だと減額され、年収1200万円を超える世帯には給付されません。具体的には、児童2人+扶養配偶者の会社員世帯の場合、夫婦のうち年収が高い方の年収が960万円程度(市町村の規定による)を上回る場合は特例給付の対象となり、支給額は子ども1人につき月5000円となります。 960万円を下回る世帯は1万円給付(3歳以上の子どもがいる場合)されるため、半額しかもらえないということになります。具体的には、年間子ども1人につき6万円程度給付額が減る計算になります。 ただし、児童手当制度は2024年10月から改正され、所得制限がなくなるので、今後の影響は少ないでしょう。 ■年収910万円を超えると子どもの高校の授業料無償化の対象外になる 高校無償化に必要な高等学校就学支援金の受給条件は、「日本国内在住かつ高等学校等に在学」と「世帯年収910万円未満世帯の生徒」です。年収910万円を超えると子どもの高校の授業料無償化が対象外になるので、注意が必要です。 年収590万円から910万円未満の場合の支給額11万8800円(公立高校の年間授業料)が受けられなくなるのは痛手でしょう。高校の授業料無償化を受けたい場合は、昇給のタイミングを検討する必要があります。