グーグルの事業分割要請 独占是正へクローム売却を 米司法省
【シリコンバレー時事】米司法省は20日、首都ワシントンの連邦地裁に対し、米グーグルの検索エンジン市場の独占に対する是正案を提出した。 検索エンジンと結び付きの強いウェブブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」事業の売却を要求している。判事が受け入れれば、巨大IT企業の事実上の解体となる可能性がある。 分析サイトのスタットカウンターによると、グーグルは検索エンジン市場で9割、ウェブブラウザー市場で7割のシェアを握る。司法省は、クロームが競合の検索エンジンの出現を阻んでいると指摘している。 是正案では、ブラウザー市場への再参入や、競合となる検索サービスへの投資や買収も禁じるよう要請した。独占の是正につながらなければ、基本ソフト(OS)「アンドロイド」も分割させる可能性に言及した。 対価を支払ってスマートフォンメーカーに検索エンジンを標準搭載させる契約も禁じるよう求めた。個人情報を保護した上で10年間、競合に検索データを無償提供することなども提案した。 連邦地裁は8月、検索エンジン市場でのグーグルの反トラスト法(独占禁止法)違反を認定。判事が具体的な是正策を決めるため、司法省とグーグル双方を交え審議している。地裁は来年8月までに結論を出す方針。 グーグルの親会社アルファベットの7~9月期決算によると、広告収入は売上高全体の7割を占め、検索連動型広告がその中核となっている。グーグルは不利な結論が出れば控訴が可能で、裁判は長期化する恐れがある。