【新型コロナ】レプリコンワクチンって何? その特徴は?
【新型コロナ】レプリコンワクチンって何? その特徴は? 人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2020年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。 本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。出版を記念し、寄稿文を特別に公開します。 ● 今までのワクチンと何が違うの? 予防接種に関して昨今よく話題に挙がっているのが「レプリコンワクチン」。レプリコンとは「レプリカ(複製)」という言葉から造られた分子生物学の用語です。 一体何が違うのでしょうか? 従来のワクチンでは、ウイルスのスパイクタンパク質を作る設計図である「mRNA」そのものをまとめて体内に投与していました。 一方レプリコンワクチンでは、「自己増幅機能」を持っていて、体内でRNAを増殖させられるんです。 例えるならmRNAを複製する「コピー機」を投与することになり、体の中でリアルタイムでmRNAをどんどん複製してくれます。 そのため、投与量としては少量で済みますし、コピー機のように体内複製をし続けてくれるので持続時間が長いと言われています。 このレプリコンワクチン、聞きなじみのない名前から賛否両論の声が挙がっており、接種を受けた人が周囲に感染させる「シェディング」という現象が起こるのではないか、という意見も存在します。 確かに従来のワクチンに比べると、投与されてきたデータの母数に違いはあり、今後さらなるデータの蓄積を行うことは必要と考えられてはいるものの、これまでのデータでは副作用に関する大きな違いもございませんし、何より現状の科学的データでは「シェディング」のような事象は確認されていないので、その点はご安心ください。 レプリコンワクチンは体内で免役を獲得するための部分的なウイルスだけを作るので、理論的にも接種したことで他の人に感染させるという事象は起こらないと考えられています。 このレプリコンワクチンは日本の製薬会社Meiji Seika ファルマが製造しているものです。新型コロナのさらなる感染拡大時に、不足しないよう国内でワクチンを生産できる体制を整えられることは日本にとって大きなメリットであると考えられており、次世代のワクチンに今後期待しましょう。
森勇磨