福井駅で一乗谷の風情感じさせる写真展 県内デザイナーら監修の展示空間「通り抜ける仕掛けが面白い」
福井県福井市の福井駅東口(一乗谷口)で9月12日、同市の一乗谷の四季や暮らし、朝倉氏遺跡の発掘調査などを情緒的に切り取った写真約20点を並べる「一乗谷百景 写真展」が始まった。県内のデザイナーらが監修し、一乗谷の風情を感じさせる展示空間を演出。主催した県の担当者は「多くの人に一乗谷に足を運んでみようと思ってもらえたらうれしい」と話している。16日まで。 展示は、県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館を起点に遺跡全体で魅力を発信する県の「同遺跡フィールドミュージアムデザイン事業」の一環。同事業では今年3月、同駅東口の出入り口に同遺跡の唐門風の装飾も施している。 県はデザイナーやクリエーターらと協働して政策立案する「政策デザイン」の手法を取り入れており、若者や無関心層にも一乗谷の魅力を知ってもらおうと「県クリエイター協会」に監修を依頼した。 写真は同協会所属の写真家、片岡杏子さん(42)=越前市=が昨年秋から季節ごとに撮影した中からえりすぐりを展示。同遺跡の石仏群と桜を一枚に収めたものや、雪が積もる同遺跡復原町並の作品など四季を象徴する4点は、縦約1・5メートル、横約2メートルの半透明の生地に印刷し、上下に切り込みを入れのれんのようにして展示。通行人らが次々とくぐり抜けたり、スマートフォンで撮影したりする姿が見られた。敦賀市から訪れた人は「写真の中を通り抜ける仕掛けがとても面白い。実際に一乗谷に足を運んでみたい」と話していた。 このほか、木製の展示台には、唐門近くで雪かきをする同遺跡保存協会のメンバーや発掘調査に汗を流す調査員らを写した作品などもあり、通行人らの目を引いていた。 展示を監修したデザイナーの三田村敦さん(41)=福井市=は「観光地を紹介する広報写真はたくさんあるが、その土地の空気感や人々の息づかいを伝えることでより興味を持ってもらえるようになる」と話している。