使用済み核燃料の中間貯蔵事業、6日にも開始…中間貯蔵施設検査を完了し「使用前確認証」交付
原子力発電所の敷地外で使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設(青森県むつ市)について、原子力規制委員会は6日午前、設備上の検査が完了したことを示す「使用前確認証」を交付することを決めた。全国初となる中間貯蔵事業が、同日中にも開始される見通しとなった。
中間貯蔵施設は、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)などに一時保管されている使用済み核燃料を減らし、原発の安定的な運営を後押しする。9月26日には同原発から、使用済み核燃料12トン入りの金属製の容器(キャスク)1基が初めて運び込まれた。2026年度までに計96トンの搬入を見込む。将来的には2棟の建屋に最大計5000トンの使用済み核燃料を保管する。建屋の使用期限は最長50年間。
規制委は6日の定例会合で、事務局から施設の安全管理などが適切に行われているとの報告を受けた。委員5人は、東電と日本原子力発電が出資する運営会社「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」に対し、使用前確認証を交付することを全会一致で決めた。RFSは同日午後に確認証を受領し、施設の操業開始を発表する予定だ。
政府は、使用済み核燃料を再処理してウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を作り、原発で再利用する「核燃料サイクル政策」を掲げている。だが、政策の要となる再処理工場(青森県六ヶ所村)とMOX燃料工場(同)は未完成で、全国の原発は敷地内で使用済み核燃料を保管することを余儀なくされている。
電気事業連合会によると、日本全体の原発の使用済み核燃料は、保管可能な容量(約2万トン)の8割ほどに達している。原発の安定稼働を目指す政府にとって、中間貯蔵施設の確保は急務で、核燃料サイクル確立のためにも不可欠な状況にある。