100社の新卒募集要項を生成AIがランキング化!栄えある第1位は「株式会社良品計画」
株式会社Workstyle Evolutionが、生成AIを用いて大手求人サイトに掲載された100社の新卒募集要項の魅力度を調査した結果を発表した。調査の結果、対象企業のうち最も魅力的なライティングを作成する企業は「株式会社良品計画」であることが明らかに。本調査の意図や詳しい調査結果について、担当者に話を聞いてみた。 【図を見る】生成AIが選ぶ新卒募集要項ランキングトップ10の結果は…? ――調査の結果を教えてください。 今回の調査結果で、「株式会社良品計画」が生成AIの評価でトップに立ったことが明らかになりました。同社のライティングは、ミッションの表現や、比喩の活用、チーム内での役割、キャリアの発展性など、複数の観点で高評価を得ています。特に「地域のコミュニティセンターとしての店舗」や「経営者としての店長」という表現が、同業他社には見られない表現となっています。 ――調査の評価項目をどのように導き出したのか教えてください。 調査員の池上は東証プライム上場企業の執行役員として、累計1400名の新卒採用の責任者を務めた経験があります。そのため、業務経験のない若者がイメージしやすく、魅力を感じるライティングの「コツ」を無意識に理解していました。今回、生成AIと共同で調査するにあたって、その「コツ」をあらためてAIと壁打ちを行いながら明確に言語化し、項目にまとめたものが、ミッションの表現、トレンドとの関連性、比喩の活用、チーム内での役割、キャリアの発展性の5つです。今回は採点のしやすさから項目を5つにまとめましたが、より精緻な調査を行いたい場合は容易に項目を増やすことも可能です。 ――5つ評価項目の中で一番重要だと思われる項目はどれでしょうか? 比喩の活用です。この項目は、多くの企業さまがポイントを得られなかった項目でもあります。仕事のイメージが希薄な学生にとって、例示やメタファーは想像力を刺激するうえで重要な要素となりますが、いい塩梅の表現を見つけることは非常に難易度が高いです。 ――調査のターゲット、目的について教えてください。 この調査のターゲットは、新卒採用を行う企業であり、特に優秀な学生を引きつけるために募集要項の改善を目指している企業です。今回の調査の目的は2つありました。1つ目は、これまでひとつの基準で評価をすることが難しかった「新卒募集要項のライティング(文章データ)」について、生成AIを用いて同じ軸で分析・評価を行うことで、企業が効果的な新卒採用を実現するためのベストプラクティスを客観的に導出することです。2つ目は、「生成AIを用いると、非構造的なデータであっても、体系的・定量的に評価ができる」というショーケースを作ることです。 ――本調査の実現に向けて苦労した点を教えてください。 この調査は、学生に対して企業の魅力をより効果的に伝えるために、生成AIを活用して新卒募集要項を分析・評価するという発想から生まれました。苦労した点は、生成AIの評価基準を設定し、AIの分析結果をどのようにHRコンサルタントの知見と組み合わせるかという点です。この点に対しては、HRコンサルタントとの密な連携と、生成AIの出力を補完するためのフィードバックループを構築することで解決いたしました。 ――読者へのメッセージをお願いします。 株式会社Workstyle Evolutionは、生成AIを活用したHR支援サービス「GAI Craft for HR」を通じて、企業の新卒採用力向上を支援しています。生成AIとHRコンサルタントの知見を組み合わせることで、従来の方法では得られない新たなインサイトと効果を提供いたします。これからも、生成AIの可能性を最大限に引き出し、企業の成長と成功をサポートしてまいりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。 ■生成AIが選ぶ!100社の新卒募集要項ランキング ・生成AIが選ぶ!100社の新卒募集要項ランキング、トップ10位 1位は10点満点中計8点を獲得した良品計画、2位に計7点を獲得したIDOM、3位に計6点を獲得したアパホテル、みずほ銀行、富士フイルムグループ、6位には計5点を獲得したウィルオブ・コンストラクションワールドインテック、星野リゾート、日本交通グループ、みずほフィナンシャルグループが続いた。 ・ 調査結果について 100社の合計平均点は10点満点中、2.3点と全体的にやや低迷している。このことから、社会人経験のない学生に対して自社の業務の魅力をわかりやすく、明示的に訴求するライティングの作成は難易度が高いタスクであり、どの企業も表現に苦慮する状況が伺える。特に点数が低い企業は、日々の具体的な実業務やタスクを箇条書きで表現するに留まり、その仕事の本質的な提供価値やゴールに触れられていない傾向が見受けられた。 ・項目別評価について 項目別では「3.比喩の活用」の点数が最も低く(0.1点)、「4.チーム内での役割」の点数が最も高い(0.7点)傾向が見受けられた。特に、例示やメタファーは学生の想像力を刺激して仕事内容に親しみやおもしろ味を感じさせるための強力な「武器」となりえるが、バランス感のある語彙やテイストで仕上げることが難しいため、多くの企業で活用されていない傾向にある。一方で部門や組織内での役割などのチーム志向性についてはイメージが容易なため、比較的どの企業も言及された様子が見受けられた。 学生に対して自社の魅力をわかりやすくアピールするライティングの作成は、難易度が高いからこそ他企業との差別化につながる。すべての企業にとって重要な課題である新卒採用を効果的に行うために、新卒募集要項の表現はどのように変化していくのか。今後に注目したい。 【調査概要】 調査手法:大手新卒向け求人サイトにおいて、数百名以上の採用規模で新卒採用を行う企業100社をピックアップし、企業の25新卒向け募集要項のうち「仕事内容の詳細説明」を、5つの観点から「生成AI」が各項目2点満点の合計10点で採点。各社の点数を元に、ライティングのベストプラクティスや改善ポイントを「生成AI」と「コンサルタント」が両者連携して分析、抽出。 調査対象:大手求人サイトに掲載された100社分の新卒募集要項 調査期間:2024年7月25日 調査方法:5つの評価軸に基づく生成AIによる自動分析 調査主体:株式会社Workstyle Evolution 文=岸遥南