令和6年能登半島地震で注目される「BCP」の存在
経済アナリストの馬渕磨理子が1月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。令和6年能登半島地震が経済に与える影響、これから先に企業が取り組むべき事業計画について解説した。
BCP(事業継続計画)
令和6年能登半島地震による被害額推計について、野村総合研究所は年間名目GDPの約0.15%に相当する8000億円規模にのぼるとの試算を発表した。 飯田)地震発生から昨日(1月4日)の夕方で72時間が経過しました。これまでも甚大な被害が報道されています。 馬渕)被害の全容はまだわからないところもありますが、8000億円規模という試算も出てきました。これが出ないことには予備費の計画が進まないので、情報に基づくと、おそらく46億円くらいの予備費が出てくるのではないでしょうか。
被災地への輸送ルートでの渋滞を防ぐため、個人レベルの物資搬入は受け入れていない
馬渕)その他、工場やサプライチェーンが寸断されているなど、いろいろな経済的ダメージが報じられています。私自身ができることは限られているので、SNSで「寄付しました」と出したところ、それを見てくれた地方公務員の友人が「ありがとう、すごく嬉しい。ただ、うちの県としては、まだ個人レベルの物資の搬入は受け入れていません」と。企業や団体からは受け入れているのですが、交通渋滞などを防ぐため、いまは個人のものは混乱を招くので受けておらず、「それを同時に発信して欲しい」と同級生からメッセージをいただきました。岸田総理も「必要な物資を速やかに届けられるよう、一般車両の利用はできるだけ控えて欲しい」と呼びかけています。
BCPをつくることが企業の競争力につながる
飯田)石川県が窓口となっていますが、仕分け等も大変なので、現段階では企業からまとまった数をいただいて、それを順に発送しているようです。とりあえず40億円規模の予備費を、まずはプッシュ型支援として民生支援に充てたい。今後の復興はまた別ですよね。 馬渕)日本は災害が非常に多い国ですので、従前から国も企業に対してBCP(災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画)の作成を働きかけています。例えば災害やテロに遭ったとしても、コア事業だけは推し進められるようなプランを作成しておく。コアビジネスだけでも回せれば、その地域全体を守れますし、企業には従業員をいかに安全に避難させるかなども求められており、BCPをつくる会社も増えています。 飯田)増えている。 馬渕)いろいろな企業の事例を見ていると、災害に備えるためではあるのですが、いまはBCPをつくること自体が企業の競争力につながっている事例も出てきています。例えば台湾のTSMCが誘致されている熊本には、ヒサノという運輸業の会社があります。ヒサノは半導体や精密機械の運搬が得意な会社です。他にもそういう企業はたくさんありますが、自分たちを選んでもらうためにBCPを作成するのです。災害はとてもつらいことですが、災害が多い日本であるがゆえにBCPを事前につくり、それを企業競争力につなげていくという取り組みもあり、このタイミングで考えてもいいかも知れません。