ケガで戦列を離れているデルポトロがジョコビッチと全米会場で練習!盟友の金メダル獲得には「感動して泣いてしまった」<SMASH>
今季最後の四大大会「全米オープン」(8月26日~9月8日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の開幕を間近に控えた現地21日、ATPツアーで22個のタイトルを獲得している男子テニス元世界3位のホアン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン/35歳)と、四大大会最多の24度の優勝を誇るノバク・ジョコビッチ(現2位/37歳)によるヒッティング練習が実現。会場のファンを大いに魅了した。 【動画】ジョコビッチとデルポトロが談笑を交わす場面 2022年2月に母国で行なわれた「アルゼンチン・オープン」(アルゼンチン・ブエノスアイレス/クレー/ATP250)を最後にツアーではプレーしていない35歳のデルポトロ。まだ引退を正式に表明したわけではないものの、長らく悩まされている右ヒザのケガにより依然として戦線に復帰できていないのが現状だ。 そんなデルポトロが09年に悲願の四大大会初優勝を成し遂げた思い出の舞台に帰ってきた。全米のコートに立つのは自身が準優勝を収めた18年大会以来実に6年ぶり。その時の決勝の相手が何を隠そうジョコビッチだったのである。練習の強度自体はそれほどではなかったものの、“不屈の男”の名で親しまれたデルポトロと、今もなお鉄人級の強さを維持しているジョコビッチのヒッティングを観客も大いに楽しんだようだ。 スペインメディア『Punto de Break』によれば、練習の合間にはデルポトロとジョコビッチがベンチで談笑を交わす場面もあったという。話題はジョコビッチが悲願の金メダルを獲得したパリ五輪となり、まずデルポトロがこう尋ねた。 「君(ジョコビッチ)のこれまでの最大の功績は金メダルを獲得したことかな?」 この質問にジョコビッチは冗談めかしながら「僕の最大の功績は18年の全米で君に勝ったことだよ」と回答。これにデルポトロが「僕は16年のリオ五輪で君を倒したことかな」とジョークで対抗すると、ジョコビッチは笑顔を浮かべ、「君は12年のロンドン五輪でも僕に勝ったよね。確かにオリンピックではデルポ(デルポトロの愛称)は僕の宿敵で、キラーでもあったね」と口にした。 一方でジョコビッチの金メダル獲得には「感動して泣いてしまった」とデルポトロ。かけがえのない親友が五輪ではことごとく苦戦を強いられてきたことを知っていたからこそ、表彰台の真ん中に立った姿が自分のことのようにうれしかったそうだ。 「テニスの試合を見て泣いたのは初めてだった。彼が金メダルをどれだけ欲していたかを知っていたから、とても興奮したよ。五輪が始まる前に、彼がメダルの前を通りながら金を勝ち取りたいと願うビデオを撮ったのを覚えている。彼はそれを成し遂げてみせた」 今回のヒッティング練習では、デルポトロとジョコビッチの美しき友情が如実に現れていたのが非常に印象深かった。ぜひともまた2人の対決を見たいものだが、それにはデルポトロの実戦復帰が必要不可欠となるのは言うまでもない。どうかデルポトロがツアーに帰ってきてくれないだろうか。そう思っているファンは多いはずだ。 文●中村光佑