女性記者のセクハラ被害事例を公表(全文1)メディア業界、社内からが4割
被害者たちは、なぜ調査に協力してくれたのか
で、なぜこれを寄せてくださった皆さんが、私たちの調査に協力してくれたかというお話をしたいと存じます。この思い出すのもつらく、苦しい事例というふうにたくさんの方が書かれておりました。なんだったらフラッシュバックをしてそのときのこと思い出して、今でも苦しんでいるという女性もたくさんおられます。その方々に共通しているのは、自身の体験談が後輩たちを同じ目に遭わせたくないと、これはもう私で終わりにしたいという強い気持ちでした。これはシスターフッドであり、#MeTooの流れとまったく同じだというふうに認識しています。 しかしまだ過去の傷と向き合い切れていない方も大勢おられます。それは今、皆さんの社内、もしくは仲間におられるということです。で、そのような動きの中で男性上司、もしくは同僚からのこんなこと言ったら#MeTooなるんちゃうとか、嘲笑であったりとか、わーわーまたこんなん言ったらセクハラって言われるっていうようなことで、女性たちの本当にムーヴメントを起こそうとするような記事を黙殺してきた男性たちも、私はメディアの中にたくさんおられると思います。 少なくない男性メディア関係者、もしくは女性の関係者からも、女性だってそうやって自分を、女を武器にして記事を取ってきたでしょっていう方もおられます。それなのに今さら被害者ぶるのか、というような声が私のところにも寄せられました。そういう方がいらっしゃらないとは言いません。ただし大変多くの女性ジャーナリストたちが苦しんでいるという状況を考えたときに、女を武器にして取る人がいるでしょということで、こういうことを言わないっていうほうが問題だと思います。 通訳:気にして言わないの? 谷口:#MeTooであり、こういう事例を出さないということ、こういうのを出すというのはつまり被害者ぶるな、おまえたちも今までやってきたんじゃないかということを言われるんですけれども、出さないということは、もっと苦しんでいる女性たちの声を殺してしまうことになるというふうに認識しています。私のプレゼンテーションの最後に申し上げたいのは、メディアというのは実は非常にクローズドなコミュニティーであるということです。例えば、分かりませんけれども多くの会社というのは株主も日本、日本企業だったら日本、それから取引先も日本の企業であったり、日本人であったりというところではないかと想像します。 今や国際的にもビジネスと人権という基準が設けられたりとかしていますが、それは取引先がグローバルであるということなんです。それが国内の中で、国内の人を相手に国内で完結するというようなことをしていると、自分たちがいかにクローズドなコミュニティーにいるかということに、メディアの中自身が気付けないままきているのではないかということも、今回のような事例の一因になっていると考えます。 10年後にこの話を、同じ話を同じようにしなくていいようにするために、私たちはMe Tooを再始動しなければならないと考えます。メディアの中で声が上がることこそ、社会の中での女性の性被害というのが拾い上げられやすい、そういう声が拾い上げられやすい状況になるというふうに考えます。以上で私のプレゼンテーションを終わります。 司会:Thank you very much. 【連載】女性記者のセクハラ被害事例を公表 全文2へ続く